 | • レポートコード：SRHI54908DR • 出版社/出版日：Straits Research / 2025年1月 • レポート形態：英文、PDF、約120ページ • 納品方法：Eメール（受注後2-3日） • 産業分類：医療 |
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レポート概要
CNS治療薬の世界市場規模は、2024年には1,456億1,000万米ドルと評価され、2025年には1,599億9,000万米ドル、2033年には3,735億7,000万米ドルに達すると予測され、予測期間中（2025年〜2033年）のCAGRは9.88%で成長すると予測されています。
中枢神経系疾患の有病率の増加や強力なパイプライン医薬品の存在といった要因が、2033年までに中枢神経系治療薬市場の需要を大きく牽引すると考えられます。
脳と脊髄は、神経系の重要な部分である中枢神経系（CNS）を形成しています。中枢神経系は身体の処理ハブです。脳は、意識、運動、思考、言語、味覚、視覚、触覚、聴覚、嗅覚の五感など、ほとんどの身体プロセスを制御しています。脊髄組織は脳組織に囲まれています。脊髄組織は、末梢神経のネットワークを介して脳と身体の他の部分との通信を送受信します。
髄質はまた、神経によって脊髄とつながっています。ニューロンは中枢神経系の基本的な構成要素です。ニューロンは、脳との間で電気的または化学的信号を伝達するネットワークに配置されています。麻酔薬、抗けいれん薬、中枢神経刺激薬、筋弛緩薬、麻薬性鎮痛薬、鎮静薬などが中枢神経系治療薬の大部分を占めています。パーキンソン病、憂うつ症、アルツハイマー病、てんかん、外傷性脳損傷、脊髄損傷、中枢神経系がんなどの治療において、これらの治療薬は広く利用されています。
中枢神経系治療薬市場の成長要因
中枢神経系疾患の有病率の増加
近年、中枢神経系（CNS）疾患の発生率が顕著かつ持続的に増加しています。精神疾患は、日常生活の要求から生じるストレスレベルの上昇、仕事と生活の調和の障害、座りっぱなしのライフスタイルなど、いくつかの主な原因に起因しています。米国国立精神衛生研究所によると、米国では2019年に約5,150万人が精神疾患を患っています。したがって、中枢神経系疾患の増加は、主要な製薬企業がこの分野で広範な市場開発に着手する道を開いています。
さらに、パーキンソン病、アルツハイマー病、ALS、HDなどの神経変性疾患の有病率の上昇は、中枢神経系治療薬市場の成長を後押しすると期待されています。例えば、WHOによると、てんかんは約1,300万人の障害調整生存年数を占め、世界の疾病負担の0.5%以上を占めています。また、神経疾患の治療薬の開発は、主に血液脳関門のために困難でした。例えば、過去17年間、アルツハイマー病に対する新薬は米国FDAから承認されていません。さらに、神経疾患の有病率が上昇していることから、アンメット・ニーズが高まっています。そのため、神経疾患の治療に使用する新規治療薬のニーズが高まっています。
強力なパイプライン医薬品の存在
製薬企業は、アルツハイマー病、パーキンソン病、MSなどの神経変性疾患の治療薬候補の研究開発に注力しています。2020年2月現在、アルツハイマー病の治療薬候補は121品目あり、うち29品目が第3相臨床試験中、65品目が第2相臨床試験中、27品目が第1相臨床試験で評価中。同様に、認知機能強化を対象とした薬剤候補は12種類あり、パイプラインの9.9%は精神神経症状や行動症状の治療を目的としたものです。
さらに、後期段階のパイプライン製品の導入が、間もなく市場を活性化すると予測されています。例えば、バイオジェンは2021年1月、アルツハイマー病治療薬アデュカヌマブのBLAについて、米国FDAによる3カ月の審査延長を発表しました。アデュカヌマブ（BIIB037）は、バイオジェン社とエーザイ株式会社が共同開発中のヒトモノクローナル抗体です。改正PDUFA（Prescription Drug User Fee Act）の施行日は2021年6月7日と報告されています。
市場抑制要因
高い治療費
慢性中枢神経系疾患は、重篤な治療とともに長期にわたる治療が必要です。このような疾患の治療には高額な費用や支出が必要です。中枢神経系疾患の治療費は地域によって異なります。米国神経学会によると、神経系疾患の平均治療費は2017年3月時点で8,000億米ドルを超えています。
認知症と脳卒中の治療費は、2030年までに約5500億～6000億米ドルになると推定されています。NCBIによると、2013年の英国における神経疾患の平均治療費は、不安障害が13,322米ドル、気分障害が21,930米ドル、認知症が25,266米ドルと推定されています。神経疾患の治療費は、発展途上国では高額になることが予想されます。そのため、高い治療費が市場全体の成長を抑制しています。
市場機会
中枢神経系における新規ドラッグデリバリーシステムの導入
過去10年間に、いくつかの研究開発イニシアチブが、中枢神経系治療薬市場に革新的な薬物送達システムを導入しました。これらの革新的な薬物送達システムは、副作用が少ないため、従来の手段よりも優れています。例えば、2020年8月、ジョンソン・エンド・ジョンソンサービス社は、大うつ病性障害（MDD）患者を治療するためのSPRAVATO（エスケタミン）CIII点鼻スプレーのsNDA承認を取得しました。この治療が困難な患者集団において、スプラバトは初回投与で抑うつ症状を改善することが示された最初で唯一の承認抗うつ薬です。
さらに、さまざまな剤形が利用可能であることは、製薬会社にとって製品の差別化を可能にし、より大きな利益をもたらします。ニューロダームは、経口薬が効かなくなった中等度から重度のパーキンソン病患者を対象にND0612を開発しています。脳深部刺激療法（DBS）とレボドパ／カルビドパ腸ゲルは、手術を必要とする現在の2つの治療法です。ND0612は、レボドパ/カルビドパを持続的に皮下投与するための、より安全で効率的かつ利便性の高い選択肢です。したがって、需要と新規薬物送達システムの開発のダイナミクスは互いに直接影響し合い、市場を牽引しています。
地域別洞察
北米が世界市場を支配
北米はCNS治療薬の世界市場において最も重要なシェアホルダーであり、予測期間中のCAGRは6.7%と推定されます。高度に発達した医療インフラの存在、より良い償還政策、利用可能な新しい治療オプションに関する高い認知度が、この地域市場を牽引すると予測されています。AbbVie Inc.、Biogen、Lilly、Johnson & Johnson Services, Inc.、Pfizer Inc.などの地域大手企業が現地に進出していることが、予測期間中の成長を後押しすると予想されます。また、中枢神経障害のさまざまな用途に向けた新規治療法の開発に向けた主要企業の取り組みが活発化していることも、地域別市場シェアを押し上げると予想されます。さらに、多発性硬化症、アルツハイマー病、パーキンソン病、てんかんなどの精神疾患や神経変性疾患の罹患率の増加が、この地域における中枢神経系治療薬市場の需要を促進しています。例えば、世界中で約250万人が多発性硬化症と診断されており、そのうち約20%が北米地域に居住しています。
さらに、北米諸国には政府や非営利団体が存在するため、この地域の治療率は今後数年で上昇すると予想されています。これらの団体は、早期診断と治療に関する人々の意識を高め、生活の質を向上させる上で極めて重要です。
ヨーロッパは予測期間中6.4%のCAGRを示すと予測されています。ヨーロッパでは、中枢神経系を含む神経疾患が大きな健康負担を占めています。脳卒中、片頭痛、その他の神経疾患は、ヨーロッパでは心血管疾患、がんに次いで多い種類です。この地域の高齢化は、神経変性疾患の有病率を高める要因のひとつです。アルツハイマー病、多発性硬化症、パーキンソン病の有病率は、欧州地域で比較的高くなっています。
さらに、この地域では精神疾患の罹患率が増加しています。これらの疾患は、主に不安、うつ病、薬物関連の問題であり、毎年ヨーロッパ人の6人に1人が罹患し、EU28カ国のGDPの4％以上を費やしています。認知症（最も一般的な原因はアルツハイマー病）や精神障害のような神経変性疾患の有病率の急増、およびこの地域における医療費の増加は、有利な市場の成長を支援しています。
アジア太平洋地域は予測期間中に最も急速に成長する見込みです。神経変性疾患の有病率の高さ、メンタルヘルスに関する意識の高まり、同地域における医療インフラの改善が、同地域の市場成長を後押しすると予測されています。日本、韓国、オーストラリアなどのアジア太平洋地域の先進国は、医療政策が充実しており、メンタルヘルスに焦点を当てた公衆衛生政策が確立されています。さらに、この地域の発展途上国では、神経疾患の患者の生活を改善するために医療政策の改革が進められています。加えて、神経疾患治療薬の特許切れやジェネリック医薬品の浸透が進むことで、同地域の低・中所得国における治療率の向上が期待されています。例えば、2018年にはナトコ・ファーマがインドで再発寛解型多発性硬化症治療薬オーバジオのジェネリック医薬品を発売しました。
南米アメリカでは、アルツハイマー病や認知症などの神経変性疾患により、患者と介護者の双方に大きな疾病負担がかかっています。さらに、同地域の認知症患者数は2050年までに4倍に増加すると予想されています。前頭側頭型認知症は最も一般的な認知症の種類で、主に3つの遺伝子に関連しています： MAPT、GRN、C9orf72。さらに、この地域はうつ病による障害の増加に直面しており、うつ病性障害は主に15歳から49歳の間で障害の最大の原因となっています。Pan American Journal of Public Healthに掲載された2018年の研究では、この地域におけるメンタルヘルス障害の有病率は14.2％であることが示唆されています。上記の要因を考慮すると、中南米市場は予測期間中に顕著な成長を示すでしょう。
中東およびアフリカでは、過去数年間にわたって高い精神障害の発生率が報告されています。例えば、北アフリカと中東地域における疫学調査では、うつ病の罹患率がそれぞれ13％から18％であることが示されており、女性のうつ病罹患率は男性のほぼ2倍です。さらに、中東と北アフリカの15カ国のアラブの若者で構成された最近の研究（The Arab Youth Survey 2019）では、インタビュー対象者の3分の1がうつ病や不安症などの精神障害を抱えていることがわかりました。
また、この地域は人口が比較的若いため、アルツハイマー病などの認知症の有病率は低い。しかし、人口の高齢化に伴い、その数は増加すると予想されています。サハラ以南のアフリカ諸国では、うつ病の罹患率が常に10％から20％となっていますが、支援を必要とする人々に対応できるだけのメンタルヘルス専門家が不足しています。一方、サハラ以南のアフリカにおける認知症の有病率は、60歳以上で7.2％と報告されています。
セグメンテーション分析
疾患別
中枢神経系治療薬の世界市場は、神経血管疾患、中枢神経系外傷、メンタルヘルス、神経変性疾患、感染症に二分されます。神経変性疾患分野はCNS治療薬の世界市場シェアを独占しており、予測期間中のCAGRは9.1%と予測されています。一般的な変性中枢神経系疾患には、アルツハイマー病、パーキンソン病、多発性硬化症、ハンチントン病などがあります。アルツハイマー病とパーキンソン病に使用される薬剤のほとんどは、症状を緩和するためのものです。この分野ではいくつかの研究開発イニシアチブが実施されており、そのおかげでいくつかのパイプライン医薬品が導入されています。これらには、Aducanumab、Lecanemab、Solanezumab、Gantenerumab、LD/CDの新しい送達形態などが含まれます。これらの疾患の有病率の上昇は、アルツハイマー病や多発性硬化症に対する疾患修飾療法（DMT）の承認と相まって、神経変性疾患セグメントの成長を促進する主な要因になると予想されます。
中枢神経系治療薬市場のメンタルヘルス分野は、不安障害、気分障害、薬物乱用障害、人格障害、注意欠陥多動性障害（ADHD）にさらに細分化されます。人格障害は精神障害と併発することが多く、症状として見られることもあります。米国精神医学会によると、パーソナリティ障害の一般的な種類は、統合失調型パーソナリティ障害、妄想性パーソナリティ障害、境界性パーソナリティ障害などです。これらの障害の治療法には、精神力動療法、認知行動療法、集団療法、弁証法的行動療法などがあります。パーソナリティ障害の主な原因としては、遺伝、小児期のトラウマ、言葉の暴力、仲間などが挙げられます。最近まで、パーソナリティ障害の治療に特化した医薬品はありませんでした。
中枢神経系は自己修復能力に限界があるため、救急部における効果的な治療法の需要が高まっています。外傷性脳損傷で現在使用されている薬剤は、利尿薬、昏睡誘導薬、抗痙攣薬などです。CDCによると、年間約150万人のアメリカ人が外傷性脳損傷を負い、そのうち約23万人が入院を必要としています。その結果、毎年約5万人が死亡しています。このような疾病の負担は、中枢神経系外傷分野の成長を促進する主な要因の一つです。さらに、現在進行中の臨床試験から、外傷性脳損傷に強力に適用できる薬剤の有効性は、血液脳関門を通過する能力、短期運動機能の改善、興奮毒性傷害からの保護などの特性によって決まることが示唆されています。多くの研究開発活動が、この分野の今後の成長を後押しするものと期待されています。
中枢神経系感染症は、細菌、ウイルス、真菌、その他の病原体によって引き起こされます。主な中枢神経系細菌感染症には、マイコバクテリア感染症、細菌性髄膜炎、硬膜下膿瘍、細菌性脳膿瘍、ノカルジア症、ウィップル病、放線菌症などがあります。これらの疾患の治療には、血液脳関門だけでなく、中枢神経系に関連する複雑さなど、いくつかの限界があります。一般的に処方される治療薬には、アモキシシリン、セフォタキシム、コトリモキサゾール、クロラムフェニコールなどの抗生物質があります。中枢神経系は細菌に感染しやすいため、他の種類の感染症よりもリスクが高くなります。これらの感染症には細心の注意が必要であり、将来的に再発する可能性が高いです。効果的な治療オプションに対する高い需要が研究開発活動を後押しし、市場の成長に拍車をかけると予想されます。
中枢神経系治療薬市場の主要企業リスト
-
- Johnson & Johnson Services, Inc.
- Novartis AG
- Takeda Pharmaceutical Company Limited
- Eli Lilly and Company
- Merck & Co., Inc.
- Pfizer, Inc.
- Biogen, Inc.
- AstraZeneca
- Teva Pharmaceutical Industries Ltd.
- Otsuka Pharmaceutical Co., Ltd
最近の動向
- 2023年1月カプシダ・バイオセラピューティクスとイーライリリー・アンド・カンパニーの100％子会社であるプレベイル・セラピューティクスが中枢神経系疾患に対する非侵襲的遺伝子治療を開発するための提携を発表。
- 2023年3月-Gタンパク質共役受容体（GPCR）を標的とした創薬のリーダーであるConfo Therapeutics社は、中枢神経系疾患に関連する未知の標的に対する低分子作動薬の探索および開発に関する第一三共（東証：4568）との共同研究契約を締結したと発表。
中枢神経系治療薬市場セグメント
疾患別（2021年〜2033年）
- 神経血管疾患
- 中枢神経系外傷
- メンタルヘルス
- 神経変性疾患
- 感染症
地域別 (2021-2033)
- 南米アメリカ
- ヨーロッパ
- アジア太平洋
- 中東・アフリカ
- ラテンアメリカ
目次
- ESGの動向
- 免責事項
エグゼクティブ・サマリー
調査範囲とセグメンテーション
市場機会評価
市場動向
市場評価
規制の枠組み
中枢神経系治療薬の世界市場規模分析
- 中枢神経系治療薬の世界市場紹介
- 疾患別
- 疾患別
- 金額別疾患紹介
- 神経血管疾患
- 金額別
- 中枢神経系外傷
- 金額別
- メンタルヘルス
- 金額別
- 神経変性疾患
- 金額別
- 感染症
- 金額別
- 疾患別
北米市場の分析
ヨーロッパの市場分析
アジア太平洋市場の分析
中東・アフリカ市場の分析
ラテンアメリカ市場の分析
競争環境
市場プレイヤーの評価
調査方法
付録
