 | • レポートコード：SRSC2007DR • 出版社/出版日：Straits Research / 2025年1月 • レポート形態：英文、PDF、約120ページ • 納品方法：Eメール（受注後2-3日） • 産業分類：化学品 |
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レポート概要
2024年の市場規模は41,518.82トンと推定され、2025年には44,009.95トン 、 2033年には70,145.17トンに達すると予測され、予測期間中（2025～2033年）の年平均成長率は6%です。
製品としてのヨウ素は通常固体で、紫黒色の金属光沢を持ち、金属のように重い物質です。比較的低温でも液化し、ドライアイスのように固体のヨウ素を昇華させることですぐに気化します。独特の臭いがあります。水蒸気、液体、固体の形態をとりやすい珍しい物質です。反応性が強く、各種ヨウ素化合物の製造に広く用いられ、様々な分野で利用されています。
ヨウ素は、X線造影剤、医薬品、LCD偏光フィルム、飼料、ヨードファー、フッ素化学品、殺生物剤、ナイロン、人間栄養学、ポビドンヨードなど、さまざまな用途に使用されています。ヨウ素は非金属元素であり、化学合成によって製造することはできません。産業上の観点からは、ヨウ素を含む資源としてのみ抽出することができます。日本ではヨウ素以外の天然資源は乏しいものの、ヨウ素の生産量は世界全体の約3割を占めています。ヨウ素の需要は、X線造影剤における需要の増加、ヒトのヨウ素欠乏症の増加、およびヨウ素誘導体の様々な用途によって牽引されると予測されています。
レポート目次
ヨウ素市場の成長促進要因
X線造影剤における需要の増加による市場成長の見通し
ヨウ素原子は必要な放射線吸収特性を提供するため、生体内医療診断に使用されるX線造影剤に欠かせない成分です。ヨウ素は、化学構造の芳香族部分の求電子置換によって造影剤に添加されます。ヨウ素化試薬である一塩化ヨウ素（ICl）は、元素状ヨウ素を塩素と反応させることで生成されます。ヨウ素化造影剤の製造には、使用済みヨウ素の大幅な回収と再循環が必要です。その結果、他の造影剤よりも優れています。
X線造影剤の製造におけるヨウ素の応用は、本市場の主要な推進要因のひとつです。ヨウ素は原子番号と密度が高いため、体内に存在するとX線密度が類似した組織、臓器、血管間のコントラストが高まるため、この用途に適しています。
増加するヨウ素欠乏症
ヨウ素を十分に摂取することは、人間や動物の健全な発育に不可欠です。ヨウ素欠乏症（IDD）は、食事からヨウ素が欠乏すると発症します。しかし、食品中のヨウ素濃度を調整する必要があります。ヨウ素欠乏症は甲状腺機能にも障害を与えます。これに加えて、ヨウ素欠乏症は人間にとって重大な障害となり、重篤な症状を引き起こすことさえあります。このような症状には、首の腫れ、妊娠に関する問題、体重増加、その他の学習障害などがあります。
さらに、アメリカFDAは乳児用ミルクへのヨウ素添加や、パンを含むベーカリー製品などの食品へのヨウ素添加を規制しています。このため、ヨウ素市場の需要が高まるとともに、乳製品（牛乳、ヨーグルト、チーズ）、シリアルやパンなどの穀物製品、ヨウ素塩（米国、インドなど多くの国で容易に入手可能）、海藻やその他の魚介類など、さまざまな食品に必要なミネラルとして消費量が増加しています。このような要因が、予測期間中のヨウ素消費を促進しています。
市場抑制要因
市場成長を阻害するヨウ素の毒性と健康関連問題
急性ヨウ素中毒の臨床的特徴には、胃腸障害（嘔吐、下痢）、代謝性アシドーシス、痙攣、昏睡、せん妄、虚脱などがあります。また、ヨウ素含有薬剤やX線造影剤による治療後に、ヨウ化物流行性耳下腺炎、ヨウ素皮症、ヨウ化物熱などの過敏反応が起こることもあります。
ヒトでは、1,200～9,500mg（17～120mg/kg）のヨウ素をチンキ剤で摂取した場合に死亡（通常48時間以内）が起きています。胎児、新生児、甲状腺炎患者など、影響を受けやすい集団におけるヨウ素誘発性甲状腺機能低下症は、神経学的影響を引き起こす可能性があります。
生殖および発達毒性： 過剰なヨウ素への慢性暴露は、甲状腺機能障害に続発し、月経周期の変化（月経過多（子宮出血過多）、無排卵（排卵なし）など）を誘発するなど、生殖機能を混乱させることが示されています。したがって、上記のような要素が予測期間中のヨウ素剤市場に影響を与えると考えられます。
市場機会
市場機会を高める殺生物剤使用に対する需要の高まり
ヨウ素は、細菌、真菌、酵母、ウイルス、芽胞、原虫寄生に対する強力な殺生物剤です。周期表の中で、環境を汚染することなく細菌を除去できる唯一の元素です。ヨウ素が分子のC-IまたはI-O部分としてしっかりと結合しているヨウ素リッチ化合物は、最も有望なエネルギー殺生物化学物質の一つとして発見されています。ヨウ素リッチ化合物の分解または爆発では、強力な殺生物剤としてのヨウ素またはヨウ素含有成分を相当量含むガス状生成物が放出されます。
爆轟圧のため、ヨウ素種は広い範囲に分布し、システムの有効性が著しく向上し、従来型の殺生物手段よりもかなり少ない労力で済みます。市販されているテトラヨードメタンやテトラヨードエテンは、驚異的なヨウ素含有量を持っていますが、揮発性、光感受性、化学反応性という欠点もあります。そのため、殺生物剤として直接使用するには適していません。
このようなヨウ素の特性から、ヨウ素含有量を最大限に維持しつつ、安定性を併せ持つ活性なヨウ素リッチ化合物を合成する戦略や、酸素バランスを改善し、高エネルギーと高ヨウ素含有量の両方を達成するための酸素含有ヨウ素リッチ化合物の合成ルートが求められています。したがって、新しいヨウ素リッチ化合物の設計と合成の余地があり、将来のより効率的で安全なヨウ素リッチ抗生物戦剤を開発するルートがあります。
地域分析
ヨーロッパとアジア太平洋が最も重要な市場。ヨーロッパが世界ヨウ素市場の35%以上を占め、最大のシェアを占めており、2021年には12,300トンと推定されています。2030年には18750トンに達する見込みで、年平均成長率は5%です。ドイツはヨーロッパ最大の経済大国であり、世界第4位。ドイツでは、Deutsche Tiernahrung Cremer GmbH & Co. KG、Worlée、Kiwaなどが動物飼料メーカーです。同国では動物飼料メーカーが増加しているため、ヨウ素の需要は予測期間中に増加する見込みです。
アジア太平洋地域は最も急速に成長しており、2021年には11,370トンと推定され、2030年には20555トンに達すると予想され、期間中のCAGRは7%を記録します。アジア太平洋地域では、中国がGDPで最大の経済大国です。中国の畜産産業は、食生活がより動物性タンパク質にシフトするにつれて、近年急速に拡大しました。現在、中国は世界最大の畜産物生産国であり、最大の飼料メーカーです。医療技術の進歩により、ヨウ素の需要が高まっています。X線撮影の処置別では、ヨウ素を含むX線造影剤が血管系や臓器の可視性を向上させます。さらに、ヨウ素は、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、ヨウ素溶液と同様に、消毒剤、殺菌剤、鎮痛剤などを製造するために医薬品に使用されています（例えば、ヨウ素チンキ剤）。
さらに、不健康なライフスタイルの割合の増加、医療価格の上昇に伴う経済的な医療提供に対する需要の増加、技術の向上、e-ヘルスなどの政府プログラム、補助金や税制優遇措置が、この国の医療セクターを後押ししています。水処理と食品・飲料における殺生物剤の用途拡大が、予測期間中のヨウ素市場を牽引すると推定されます。したがって、調査対象市場における需要は、今後数年間、アジア太平洋地域でこれらの分野から拡大すると予想されます。
セグメント別分析
供給源別
供給源別に見ると、世界のヨウ素市場は地下かん水、カリッシュ鉱石、リサイクル、海藻に分けられます。カリッシュ鉱石セグメントが最大のシェアを占め、2021年のヨウ素市場の51%以上を占めています。2021年には17985トンと推定され、2030年には28870トンに達する見込みで、年平均成長率は5%。しかし、予測期間中に最も高いCAGR 6%を記録すると予想されるのはリサイクル分野です。
チリ北部のカリチェ鉱石は、硝酸塩とヨウ素の世界最大の鉱床として知られています。企業はチリ全土でリチウム、硝酸塩、ヨウ素の生産拡大を目撃しています。例えば、2020年12月、SQMはリチウム、硝酸塩、ヨウ素生産の大規模拡張計画を発表。これは、リチウム、ヨウ素、硝酸塩事業を拡大するための2021～2024年の19億米ドルの野心的な投資計画の一環。このプロジェクトでは、硝酸塩とヨウ素の生産に向け、チリのカリチェ鉱業と工場に約4億4,000万米ドルを投資します。硝酸塩の年間生産能力は約25万トン、ヨウ素は3,000トンに増加。このような拡大が市場の需要を増大させています。このようなプロジェクトは、カリチェ鉱石を通じてヨウ素の需要を増加させています。これは、予測期間にわたってヨウ素市場のニーズを促進することができます。
形態別
形態別に見ると、世界のヨウ素市場は無機塩および錯体、有機化合物、元素、同位体に分けられます。有機化合物セグメントは最大のシェアを占め、2020年のヨウ素市場の約49%を占めています。2021年には17065トンと推定され、2030年には年平均成長率5%を記録して27160トンに達する見込みです。しかし、元素と同位体セグメントは予測期間中に6％の最高のCAGRを記録すると予想されています。
ヨウ素添加塩の消費は、世界中のヨウ素欠乏症の抑制と撲滅に不可欠なアプローチです。有機ヨウ素化合物の同定にはガスクロマトグラフィーを使用（GC）。有機化合物のプロセスには海水が含まれます。50～100mlの量がパージユニットに注入され、脱気されます。その後、脱気された化学物質は、ヘリウムを用いて液体窒素冷却のコールドトラップに移されます。脱ガス後、液体窒素を抜き取り、ウェブを加熱することにより、トラップされた化合物を分離カラムに送ります。
有機ヨウ素化合物は、GCのキャピラリーカラムを使用し、40～240℃の異なる温度でトラップを加熱することで分離されます。さらに、食用ヨウ素添加塩の消費は、世界的なヨウ素欠乏症の抑制と撲滅のための重要な戦略です。しかし、食塩中の有機ヨウ素化合物を同定することは、食用ヨウ素添加塩製品の有効性と安全性を評価するために不可欠です。
用途別
用途別に見ると、世界のヨウ素市場は、動物飼料、医療、殺生物剤、光学偏光フィルム、フッ素化学、ナイロン、その他の用途に分けられます。医療分野が最大のシェアを占め、2021年には16240トンと推定され、2030年には年平均成長率6%を記録して27435トンに達する見込みです。
医療技術の進歩により、この用途におけるヨウ素の需要が増加しています。ヨウ素を含むX線造影剤は、X線撮影時の血管構造や臓器の視認性を向上させます。さらに、ヨウ素は医薬品の中でも消毒薬、殺菌薬、鎮痛薬などに使用され（例えば、ヨウ素チンキ）、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、ヨウ素溶液の製造に採用されています。医療産業の成長に伴い、医薬品業界も医薬品需要に好影響を及ぼしています。このように、医療産業の成長は、医薬品産業の市場と生産に直接影響を与えます。
ヨウ素市場の主要企業リスト
-
- SQM SA
- Algorta Norte SA
- Calibre Chemicals Pvt Ltd
- COSAYACH
- Deepwater Chemicals
- Eskay Iodine
- Glide Chem Private Limited
- GODO SPIGEN Co. Ltd
- IOCHE
- Iofina PLC
- ISE Chemicals Corporation
- Itochu Chemical Frontier Corporation
- Kanto Natural Gas Development Co. Ltd
- Nippon Chemicals Co. Ltd.
- Parad Corporation Pvt Ltd.
- Protochem
- Salvi Chemical Industries Ltd
- Samrat Pharmachem Limited.
- Toho Earthtech Inc.
最近の動向
- 2020年8月、 SQM S.A.はアタカマ塩湖からのかん水採取量を50％削減し、全事業における水の消費量を40％削減することを計画。この計画により、カーボンニュートラルなリチウム、カリウム、ヨウ素が生産される可能性があります。
ヨウ素市場のセグメンテーション
供給源別（2021～2033年）
- 地下ブライン
- カリチェ鉱石
- リサイクル
- 海藻
形態別（2021～2033年）
- 無機塩および錯体
- 有機化合物
- 元素・同位体
用途別（2021-2033）
- 動物飼料
- 医療
- 殺生物剤
- 光学偏光フィルム
- フッ素化学
- ナイロン
- その他の用途
目次
- ESGの動向
- 免責事項
エグゼクティブ・サマリー
調査範囲とセグメンテーション
市場機会評価
市場動向
市場評価
規制の枠組み
ヨードの世界市場規模分析
- ヨウ素の世界市場紹介
- 供給源別
- ソース別
- 金額別ソース
- 地下ブライン
- 金額別
- カリッシュ鉱
- 金額別
- リサイクル
- 金額別
- 海藻
- 金額別
- ソース別
- 形態別
- 紹介
- 金額別形態
- 無機塩と錯体
- 金額別
- 有機化合物
- 金額別
- 元素と同位体
- 金額別
- 紹介
- 用途別
- 導入
- 金額別アプリケーション
- 動物飼料
- 金額別
- 医療用
- 金額別
- 殺生物剤
- 金額別
- 光学偏光フィルム
- 金額別
- フッ素化学
- 金額別
- ナイロン
- 金額別
- その他の用途
- 金額別
- 導入
南米アメリカの市場分析
ヨーロッパの市場分析
アジア太平洋市場の分析
中東・アフリカ市場の分析
ラテンアメリカ市場の分析
競争環境
市場プレイヤーの評価
調査方法
付録
