電磁式オーバーバンドセパレーターの世界市場 2025年

• レポートコード：MRCUM51107SP2 • 発行年月：2025年10月 • レポート形態：英文PDF • 納品方法：Eメール（納期：2～3日） • 産業分類：機械

市場概要
世界の電磁式オーバーバンドセパレーター市場は、2024年に1億5100万米ドルと評価され、2031年には1億9200万米ドルへ拡大する見通しです。予測期間の年平均成長率は3.5％です。設備投資の回復、資源循環の強化、製造現場の自動化需要の高まりが背景にあり、特にスクラップリサイクル、鉱物選鉱、鉄鋼冶金の各分野で更新・増設需要が継続しています。本報告は、地域・国、タイプ、用途、メーカーの各視点から定量・定性の両面で市場を分析し、競争環境、サプライチェーン、価格動向、政策環境の影響を総合的に評価しています。あわせて、2025年時点の主要企業のシェア見積りや代表的な製品例も提示されています。
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製品概要と機能
電磁式オーバーバンドセパレーターは、搬送コンベヤ上方に懸架した強力な電磁石で被搬送物中の強磁性金属を吸着・除去する装置です。磁性体のみを選択的に回収し、非磁性物はそのまま搬送されます。自動クリーニング機構により、吸着した金属を連続的に排出できるため、ライン停止を最小化し、省力化と処理能力の向上に寄与します。油冷式はコイルを油で冷却し高負荷連続運転に適し、空冷式は構造が簡素で設置性とメンテナンス性に優れます。近年は省エネ制御、残留磁化低減、安全インターロック、遠隔監視などの機能が付加され、総保有コストの低減が進んでいます。
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市場動向と成長要因
成長を支える主因は三点に整理できます。第一に、金属資源価格の変動と循環経済の推進により、スクラップ品質向上と異物混入リスク低減の要請が強まっていることです。第二に、鉄鋼・セメント・非鉄・化学など連続生産ラインの稼働率向上ニーズが高まり、故障予防と保守省力化に直結する磁選装置の導入効果が再評価されていることです。第三に、選鉱・建設廃材処理・都市ごみ発電施設など対象プラントの新設・増設が各地域で進み、装置更新需要も底堅いことです。一方、原材料と電力コストの上昇、初期投資負担、据付スペースや電源容量の制約は、導入を遅らせる要因となります。関税・認証・補助金制度の差異は、地域別の価格形成と調達戦略に影響します。
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セグメント別分析（タイプ）
本市場は「油冷式」と「空冷式」に大別されます。油冷式は高磁束密度と熱安定性に優れ、重負荷・大断面ベルト・高搬送速度の現場で採用が進みます。耐環境性と連続稼働に強く、鉄鋼・発電・大規模リサイクル施設で主流です。空冷式は構造が軽量で据付自由度が高く、中小規模ラインや移設頻度の高い現場に適します。保全容易性と初期費用の抑制が評価され、建設廃材処理や一般産業の搬送ラインで広く用いられます。長期的には、省エネ駆動やスマート制御の普及により、両方式とも効率化と安全性の向上が見込まれます。
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セグメント別分析（用途）
用途は「スクラップリサイクル」「鉄鋼冶金」「選鉱」「その他」に区分されます。スクラップリサイクルは最大需要分野で、製鋼原料の異物低減、粉砕設備保護、製品品位の均質化を目的に導入が拡大します。鉄鋼冶金では高温・粉塵・腐食環境での確実な金属除去と、搬送設備・破砕設備の突発停止回避が重視されます。選鉱では前処理段階での鉄片除去により下流選別の効率と歩留まりを高めます。「その他」にはセメント、木材、ガラス、都市ごみ発電、紙パルプなどが含まれ、設備保護と品質保証の観点から採用が広がっています。
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地域別市場分析
北米は先進的なリサイクル規制と高い稼働率を背景に、更新需要が安定しています。大規模ヤードや製鋼所で油冷式の高出力機が好まれ、省エネと安全認証への適合が重視されます。欧州は循環経済政策の深化とエネルギー効率要件の強化により、高効率・低騒音・低保全の機種へシフトしています。アジア太平洋は最も高い成長率が見込まれ、中国、インド、東南アジアでの新設プラントが需要を牽引し、日本や韓国では老朽設備の計画更新が進みます。南米は鉱業投資と都市インフラ改善が市場を下支えし、中東・アフリカでは資源開発と廃棄物処理インフラ整備が順次進展しています。
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主要企業の動向
主要プレイヤーには、Bunting Magnetics、Wagner Magnete、Steinert、Eriez、Dings Magnetic Group、Ejet Magnet、SOLLAU、Walker Magnetics、Apex Industrial Solutions、Tianjin North Star Technology などが挙げられます。
Bunting Magnetics と Eriez は広範な製品レンジとグローバルサービス網を武器に高い信頼を確立しています。Steinert はセンサー選別との統合ソリューションで差別化し、Wagner Magnete は重負荷対応の高磁束機で評価が高いです。Dings Magnetic Group、Walker Magnetics は北米の大型案件に強みを持ち、Ejet Magnet や Tianjin North Star Technology はコスト競争力と短納期対応でアジア案件を拡大しています。SOLLAU と Apex Industrial Solutions は中小規模ライン向けに設置性と価格を両立した機種で存在感を高めています。各社とも自動清掃機構の高耐久化、電源制御の高効率化、状態監視のデジタル化に投資を強めています。
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政策・貿易・サプライチェーン
本報告は、米国の関税枠組みと各国の政策適応を併せて検討し、競争構造や地域経済、供給網強靭性への影響を評価しています。電機部品、銅線、鋼材などのコモディティ価格変動は装置価格と納期に波及しやすく、メーカーは複数拠点生産、現地調達、長期契約によるリスク分散を進めています。認証・規格は地域差が大きく、安全・環境基準への適合が入札要件となるケースが一般化しています。補助金や税制優遇はリサイクル設備の更新投資を後押しし、需要平準化にも寄与します。
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技術革新と製品トレンド
技術面では、磁界解析に基づく極配置最適化、可変励磁による省エネ運転、トルク損失と発熱を抑えるコイル設計が進展しています。油冷式では熱交換効率の改善と漏えい防止、空冷式ではファン制御の最適化と防じん設計の高度化が進みます。自動清掃ベルトの耐摩耗材、スクレーパ形状、ステンレス非磁性フレームの採用により、寿命延長と保全性が向上しています。さらに、振動・温度・電流・吸着量のセンサー情報を統合し、故障予兆を通知する遠隔監視や、ラインの負荷に応じて励磁電流を最適化する制御が普及段階に入っています。
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課題とリスク
課題として、初期投資の回収期間の見極め、粉塵・高温・腐食環境での信頼性確保、上流設備との干渉回避（ベルト荷重・磁性体滞留・電源品質）が挙げられます。また、設備の大型化に伴う据付スペースと保守動線の確保、騒音・飛散対策、電力消費の抑制も重要です。廉価品との価格競争は継続しますが、総保有コストと停止時間削減の定量効果を提示できるメーカーが優位に立つ見通しです。
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今後の展望
中期的には、資源循環政策と生産性向上ニーズを追い風に、更新需要が安定的に継続します。油冷式は重負荷領域での置換・増設が続き、空冷式は中小ラインや移動設備での採用が広がります。遠隔監視と予防保全の実装、変動電源対応の省エネ制御、上流選別機とのシステム統合が普及し、付加価値の源泉は「分離性能×稼働率×保全性」の三点同時最適へ移行します。
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総括
電磁式オーバーバンドセパレーターは、異物除去と設備保護、歩留まり向上を同時に実現する要の装置です。世界市場は3.5％の年平均成長で拡大が続き、循環経済と自動化の進展が中長期の需要を支えます。主要企業は高効率磁場設計、耐環境性、スマート保全で差別化を進めており、総保有コストの着実な低減が導入拡大を後押しします。地域別にはアジア太平洋が牽引役となり、北米・欧州は高付加価値機への更新が継続します。今後も、安全・品質・稼働率を重視する現場要請に応える技術進化が、市場の持続的成長を下支えしていく見通しです。

目次
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1. 市場概要
1.1 製品の概要と適用範囲
1.2 市場推計上の留意点および基準年
1.3 タイプ別市場分析
1.3.1 概要：タイプ別世界消費価値の推移（2020年・2024年・2031年比較）
1.3.2 油冷式
1.3.3 空冷式
1.4 用途別市場分析
1.4.1 概要：用途別世界消費価値の推移（2020年・2024年・2031年比較）
1.4.2 スクラップリサイクル
1.4.3 鉄鋼冶金
1.4.4 鉱物加工
1.4.5 その他
1.5 世界市場規模および予測
1.5.1 世界消費価値（2020年・2024年・2031年）
1.5.2 世界販売数量（2020～2031年）
1.5.3 世界平均価格（2020～2031年）
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2. メーカー企業プロファイル
2.1 Bunting Magnetics
2.1.1 企業概要
2.1.2 主要事業
2.1.3 電磁式オーバーバンドセパレーターの製品・サービス
2.1.4 販売数量・平均価格・収益・粗利益率・市場シェア（2020～2025年）
2.1.5 最近の動向・更新情報
2.2 Wagner Magnete
2.2.1 企業概要／2.2.2 主要事業／2.2.3 製品・サービス
2.2.4 販売数量・平均価格・収益・粗利益率・市場シェア（2020～2025年）
2.2.5 最近の動向・更新情報
2.3 Steinert
2.3.1 企業概要／2.3.2 主要事業／2.3.3 製品・サービス
2.3.4 販売・価格・収益・粗利益率・市場シェア（2020～2025年）
2.3.5 最近の動向・更新情報
2.4 Eriez
2.4.1 企業概要／2.4.2 主要事業／2.4.3 製品・サービス
2.4.4 販売・価格・収益・粗利益率・市場シェア（2020～2025年）
2.4.5 最近の動向・更新情報
2.5 Dings Magnetic Group
2.5.1～2.5.5 上記同様の構成
2.6 Ejet Magnet
2.6.1～2.6.5 上記同様の構成
2.7 SOLLAU
2.7.1～2.7.5 上記同様の構成
2.8 Walker Magnetics
2.8.1～2.8.5 上記同様の構成
2.9 Apex Industrial Solutions
2.9.1～2.9.5 上記同様の構成
2.10 Tianjin North Star Technology
2.10.1～2.10.5 上記同様の構成
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3. 競争環境：メーカー別分析（電磁式オーバーバンドセパレーター）
3.1 メーカー別世界販売数量（2020～2025年）
3.2 メーカー別世界収益（2020～2025年）
3.3 メーカー別世界平均価格（2020～2025年）
3.4 市場シェア分析（2024年）
3.4.1 収益（百万米ドル）および市場シェア（％）に基づくメーカー別出荷（2024年）
3.4.2 上位3社の市場シェア（2024年）
3.4.3 上位6社の市場シェア（2024年）
3.5 企業総合フットプリント分析
3.5.1 地域別フットプリント
3.5.2 製品タイプ別フットプリント
3.5.3 用途別フットプリント
3.6 新規参入企業と参入障壁
3.7 合併・買収・合意・協業の動向
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4. 地域別消費分析
4.1 地域別世界市場規模
4.1.1 地域別販売数量（2020～2031年）
4.1.2 地域別消費価値（2020～2031年）
4.1.3 地域別平均価格（2020～2031年）
4.2 北米の消費価値（2020～2031年）
4.3 欧州の消費価値（2020～2031年）
4.4 アジア太平洋の消費価値（2020～2031年）
4.5 南米の消費価値（2020～2031年）
4.6 中東・アフリカの消費価値（2020～2031年）
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5. タイプ別市場セグメント
5.1 タイプ別世界販売数量（2020～2031年）
5.2 タイプ別世界消費価値（2020～2031年）
5.3 タイプ別世界平均価格（2020～2031年）
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6. 用途別市場セグメント
6.1 用途別世界販売数量（2020～2031年）
6.2 用途別世界消費価値（2020～2031年）
6.3 用途別世界平均価格（2020～2031年）
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7. 北米
7.1 北米：タイプ別販売数量（2020～2031年）
7.2 北米：用途別販売数量（2020～2031年）
7.3 北米：国別市場規模
7.3.1 国別販売数量（2020～2031年）
7.3.2 国別消費価値（2020～2031年）
7.3.3 米国の市場規模と予測（2020～2031年）
7.3.4 カナダの市場規模と予測（2020～2031年）
7.3.5 メキシコの市場規模と予測（2020～2031年）
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8. 欧州
8.1 欧州：タイプ別販売数量（2020～2031年）
8.2 欧州：用途別販売数量（2020～2031年）
8.3 欧州：国別市場規模
8.3.1 国別販売数量（2020～2031年）
8.3.2 国別消費価値（2020～2031年）
8.3.3 ドイツの市場規模と予測（2020～2031年）
8.3.4 フランスの市場規模と予測（2020～2031年）
8.3.5 英国の市場規模と予測（2020～2031年）
8.3.6 ロシアの市場規模と予測（2020～2031年）
8.3.7 イタリアの市場規模と予測（2020～2031年）
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9. アジア太平洋
9.1 アジア太平洋：タイプ別販売数量（2020～2031年）
9.2 アジア太平洋：用途別販売数量（2020～2031年）
9.3 アジア太平洋：地域別市場規模
9.3.1 地域別販売数量（2020～2031年）
9.3.2 地域別消費価値（2020～2031年）
9.3.3 中国の市場規模と予測（2020～2031年）
9.3.4 日本の市場規模と予測（2020～2031年）
9.3.5 韓国の市場規模と予測（2020～2031年）
9.3.6 インドの市場規模と予測（2020～2031年）
9.3.7 東南アジアの市場規模と予測（2020～2031年）
9.3.8 オーストラリアの市場規模と予測（2020～2031年）
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10. 南米
10.1 南米：タイプ別販売数量（2020～2031年）
10.2 南米：用途別販売数量（2020～2031年）
10.3 南米：国別市場規模
10.3.1 国別販売数量（2020～2031年）
10.3.2 国別消費価値（2020～2031年）
10.3.3 ブラジルの市場規模と予測（2020～2031年）
10.3.4 アルゼンチンの市場規模と予測（2020～2031年）
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11. 中東・アフリカ
11.1 中東・アフリカ：タイプ別販売数量（2020～2031年）
11.2 中東・アフリカ：用途別販売数量（2020～2031年）
11.3 中東・アフリカ：国別市場規模
11.3.1 国別販売数量（2020～2031年）
11.3.2 国別消費価値（2020～2031年）
11.3.3 トルコの市場規模と予測（2020～2031年）
11.3.4 エジプトの市場規模と予測（2020～2031年）
11.3.5 サウジアラビアの市場規模と予測（2020～2031年）
11.3.6 南アフリカの市場規模と予測（2020～2031年）
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12. 市場ダイナミクス
12.1 市場成長要因（需要・技術・規制）
12.2 市場抑制要因（コスト・代替手段・景気動向）
12.3 トレンド分析（自動化・高効率化・省エネ対応 ほか）
12.4 ポーターの5フォース分析
12.4.1 新規参入の脅威
12.4.2 供給者の交渉力
12.4.3 買い手の交渉力
12.4.4 代替品の脅威
12.4.5 競争の激しさ
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13. 原材料および産業チェーン
13.1 主要原材料と主要供給メーカー
13.2 製造コスト構成比
13.3 製造プロセス概要
13.4 産業バリューチェーン分析
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14. 流通チャネル別出荷
14.1 販売チャネル
14.1.1 エンドユーザー直販
14.1.2 販売代理店・ディストリビューター
14.2 代表的な流通事業者
14.3 代表的な顧客層・採用分野
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15. 調査結果と結論
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16. 付録
16.1 調査手法
16.2 調査プロセスとデータソース
16.3 免責事項

【電磁式オーバーバンドセパレーターについて】

電磁式オーバーバンドセパレーターは、搬送コンベヤ上を通過する原料や製品の中から鉄片などの強磁性金属を自動的に除去するために使用される磁気分離装置です。主にリサイクル工場、採石・鉱山業、製鉄所、廃棄物処理プラント、セメント工場、食品・化学・ガラス産業などで、製品の品質維持や設備保護を目的として使用されています。この装置は、コンベヤベルトの上方に設置され、電磁石の強力な磁場によって鉄系異物を吸着し、連続的に分離・排出する仕組みです。

電磁式オーバーバンドセパレーターの構造は、電磁コイルを内蔵した磁極部と、それを覆うベルトコンベヤ機構で構成されています。コイルに電流を流すことで強力な磁場が発生し、搬送物中の鉄片が吸着されます。吸着された鉄片は、オーバーバンド上の搬送ベルトによって磁場から離れた位置まで運ばれ、磁力が弱まる部分で自動的に落下・排出されます。この連続的な動作により、運転を止めることなく鉄分除去が行えるため、生産ラインの効率を損なわずに運用できます。

特徴として、まず強力で安定した磁力を発揮する点が挙げられます。電磁石を使用しているため、電流の制御によって磁力を調整でき、処理する材料や用途に応じた分離性能が得られます。また、永久磁石式に比べて磁力が高く、より大きな鉄片や深い層に埋もれた異物も除去可能です。さらに、電磁式は通電を停止すると磁力が消えるため、清掃や保守時の安全性にも優れています。外装部には耐熱・耐摩耗性を備えた材料が使用され、過酷な環境でも長期間安定して稼働します。冷却方式としては、空冷式と油冷式があり、連続運転が必要な場合には油冷式が採用されることが多いです。

種類としては、コンベヤに対して直交方向に設置する「クロスベルト型」と、コンベヤと平行に設置する「インライン型」があります。クロスベルト型は一般的で、処理後の鉄片がコンベヤの側方に排出されるため、設置や保守が容易です。インライン型は搬送物の流れに沿って鉄分を除去する方式で、高い分離効率を持ち、大量処理が求められるラインに適しています。また、磁場強度やベルト幅、冷却方式などの仕様を現場条件に合わせてカスタマイズできる柔軟性もあります。

用途としては、搬送される原料や製品中の鉄片除去による品質向上、設備損傷の防止、リサイクル原料の純度確保などがあります。例えば、破砕プラントでは金属スクラップの回収、石炭や鉱石の搬送では破砕機や粉砕機の保護、食品業界では製品中の鉄分混入防止などに用いられます。また、都市ごみ処理や自動車リサイクルの分別工程など、幅広い産業で欠かせない装置です。

このように、電磁式オーバーバンドセパレーターは、高い磁力と連続分離性能を備えた高効率な鉄分除去装置として、あらゆる産業分野で重要な役割を果たしています。設備の信頼性と製品品質を支える不可欠な機器です。