 | • レポートコード：SRPH56840DR • 出版社/出版日：Straits Research / 2025年1月 • レポート形態：英文、PDF、約120ページ • 納品方法：Eメール（受注後2-3日） • 産業分類：医療 |
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レポート概要
口腔内崩壊錠の世界市場規模は、2024年に147.6億米ドルと評価され、2025年の163.3億米ドルから 2033年には288.8億米ドルに成長すると予測され、予測期間中（2025〜2033年）の 年平均成長率は7.38%です。
口腔内崩壊錠（ODT）は、水を必要とせずに口の中で素早く溶解または崩壊する薬の種類です。舌の上で数秒で溶けるように設計されているため、小児や高齢者など錠剤を飲み込むことが困難な人でも服用しやすくなっています。ODTは一般的に、吐き気、痛み、アレルギーなどの症状を治療する薬に使用されます。ODTのユニークな製剤は、有効成分が血流に速やかに吸収され、より迅速な緩和をもたらします。
レポート目次
ODT市場の成長を後押ししている主な要因はいくつかあります。精神疾患、胃腸疾患、高血圧症などの慢性疾患の有病率の増加は、より利用しやすい薬物送達オプションに対する需要を生み出しています。さらに、新規ドラッグデリバリーシステムの研究開発の進展が、市場の技術革新を後押ししています。医療投資の増加と患者の意識の高まりやコンプライアンスも、市場拡大に貢献しています。
口腔内崩壊錠市場の動向
斬新で革新的な製品の発売
口腔内崩壊錠（ODT）市場は、患者体験を向上させるための製剤や技術の進歩に牽引され、大きな技術革新を目の当たりにしています。こうした技術革新により、特に従来型の錠剤で困難に直面している患者にとって、ODTはより魅力的なものとなっています。
- 例えば、2024年5月、Tiefenbacher Pharmaceuticals社は、6～11歳の小児を対象とした10mgのストロベリー風味のビラスチン経口分散錠を発売しました。この製品は、子ども向けの代替品へのニーズに対応するだけでなく、風味と使いやすさの重要性も強調しています。
新規のODT製品が患者のコンプライアンスと全体的な満足度を向上させ続ける中、幅広い患者により適したソリューションを提供することで、市場の成長を促進することが期待されます。
ジェネリック市場におけるODTの使用拡大
口腔内崩壊錠は、崩壊が早く、水なしで服用できるなど、数多くの利点があることから、ジェネリック医薬品市場で人気を集めています。これらの利点は、より簡単な投薬方法を必要とする患者にとって特に魅力的です。ジェネリック医薬品におけるODTの使用の増加は、より多くの人々にとって薬をより身近で便利なものにするのに役立っています。
- その顕著な例が、ヨーロッパで2024年7月に発売されるアダルボのデスモプレシンODTで、ODTの形で糖尿病を治療する初のジェネリック医薬品です。ジェネリック医薬品にODT技術が搭載されることで、ODTとジェネリック医薬品の両方の市場が拡大し、患者のコンプライアンスと利便性が引き続き優先されるため、市場の成長がさらに促進されます。
口腔内崩壊錠市場の成長要因
新製品上市の急増
世界の口腔内崩壊錠（ODT）市場は、新製品上市の急増により力強い成長を遂げています。各社はポートフォリオを拡大し、高まる患者の需要に対応するため、製造と研究の両面で大規模な投資を行っています。このような製品の増加により、市場の拡大が加速しています。
- 代表的な例としては、アムリング社が2022年2月にラモトリギンODTを承認・発売したことが挙げられます。
- また、2023年第1四半期には、サイクル・ファーマシューティカルズが多発性硬化症（MS）治療薬フィンゴリモドODTを米国で発売しました。
このような継続的な製品の上市は、ODT製品の種類を増やすだけでなく、これらの革新的な製品を患者にとってより身近なものとし、さらなる成長の原動力となっています。
研究開発への注力の高まり
ODT分野における研究開発への注目の高まりは、市場成長において重要な役割を果たしています。各社は研究開発に多額の投資を行い、本来経口剤では入手できない薬剤を含め、幅広い薬剤のODT製剤を開発しています。また、研究開発により、従来型の経口薬ではない薬剤を、より便利で患者にやさしいODTに変えることも可能になっています。
- 特筆すべき例として、カルビスタ・ファーマシューティカルズが2024年5月にセベトラルスタットのODT製剤を開発し、欧米で初めて新薬承認申請（NDA）を行う予定です。
このように研究開発が重視されるようになったことで、斬新で革新的なODT製剤の上市が進み、市場が活性化しています。
市場抑制要因
薬剤負荷容量の制限
口腔内崩壊錠（ODT）市場の成長を抑制する主な要因の1つは、薬物負荷容量の制限です。ODTは、口腔内で速やかに崩壊するように錠剤のサイズが小さく設計されているため、有効成分を大量に充填することが困難です。その結果、ODTは通常、従来の錠剤に比べて低用量で入手できるため、高用量を必要とする医薬品への適用が制限されます。例えば、アデア・ファーマ・ソリューションズのAdvatabsの薬剤負荷量は最大500mgです。このような薬物負荷容量の制限により、ODT市場で利用可能な製剤の幅が狭くなり、最終的に市場の成長性が制限されることになります。
口腔内崩壊錠の市場機会
小児および老年患者におけるODT需要の増加
口腔内崩壊錠（ODT）の需要が増加している背景には、従来型の錠剤を飲み込む際に小児や老年患者が直面する特有の課題があります。小児、特に発達や認知に問題のある患者は、錠剤を飲み込むのに苦労することが多く、老年患者は嚥下障害（飲み込みが困難な状態）の影響を大きく受けます。
- Mayo Clinic Proceedingsによると、嚥下障害は高齢者の約10%から33%に影響し、このグループは慢性疾患にもかかりやすくなっています。ODTは、口腔内で素早く溶けるため、小児および老人の患者さんにとって服薬が容易になり、これらの問題に対する効果的な解決策となります。
高齢化社会における嚥下障害の有病率の増加は、ODTの新たなビジネスチャンスを生み出し、これらのセグメントにおける需要と市場成長の原動力となっています。
地域別インサイト
北米： 39.21％の成長率で圧倒的な地域
北米は世界の口腔内崩壊錠市場をリードし、最大の売上シェアを獲得しています。この優位性は、研究開発への多額の投資や、精神疾患、高血圧、消化器疾患などの慢性疾患の高い有病率によってもたらされています。
- 例えば、米国疾病予防管理センター（CDC）によると、2021年から2023年の間に米国成人の約48%が高血圧症に罹患し、60歳以上の成人では罹患率が70%に上昇します。
高血圧のような疾患に対する長期的な投薬管理の必要性から、ODTのような、水を必要とせず投与が容易で便利な薬物送達オプションへの需要が高まっています。このようなODTに対するニーズの高まりが、北米における市場全体の拡大に寄与しています。
アジア太平洋： 中国、日本、インドで急成長
慢性疾患患者の増加、医療意識の高まり、継続的な研究開発による各国での製品上市の増加などの要因により、アジア太平洋地域は予測期間中に最も速いCAGRを記録すると予測されています。例えば、HK inno.Nは2024年6月に胃腸逆流症（GERD）治療薬K-CAB ODT 25mgを発売しました。同製品は、韓国で発売されたP-CABクラス製品の中で、ODT製剤で維持療法の適応を持つ唯一の製品。
各国の状況
- 米国 –米国は研究開発への投資が活発で、慢性疾患の有病率も高いため、依然として市場をリードしています。さまざまな健康状態に対応する新規のODT製品が発売されており、継続的な技術革新が鍵。例えば、マインドメッドは2024年12月、全般性不安障害（GAD）治療薬MM120 ODTの第3相臨床試験を開始しました。
- カナダ –カナダのODT市場は、慢性疾患患者にとってより利用しやすい治療法へのニーズが原動力となって拡大しています。市場各社は新製品を発売してポートフォリオを強化し、需要の高まりに対応しています。例えば、ファーマサイエンス・カナダは2022年4月、4mgと8mgのジェネリック医薬品であるpms-オンダンセトロンODTを発売しました。
- スペイン-スペインではODT市場が大きく成長しており、老舗企業が革新的な製品を発売しています。こうした取り組みによりODT製品のラインアップが拡大し、便利なドラッグデリバリーに対する需要の高まりに対応しています。Faes Farma社は、アレルギー症状を緩和する抗ヒスタミン剤Bilastine ODTを2023年に発売し、患者のコンプライアンスを高めながら、主要な健康上の懸念に対処するのに貢献しています。
- 英国 –英国は口腔内崩壊錠市場の支配的な市場となりつつあり、大病患者数が増加しています。医薬品へのニーズや革新的な製品の発売が市場成長の原動力となっています。Health Foundation UKによると、2023年、イギリスでは2040年までに250万人以上が大病を患うと予測されています。この数の増加が需要を示し、英国の市場成長を牽引しています。
- 日本 –日本のODT市場は、継続的な新製品の上市と製薬産業の力強い成長により活況を呈しています。研究開発によるイノベーションは、製品ポートフォリオを拡大する鍵です。例えば、第一三共は2022年5月に降圧剤「ミネブロODT」を発売しました。便利な薬への需要の高まりがODT市場の拡大に拍車をかけており、重要な成長地域となっています。
- 中国 –中国のODT市場は、研究開発投資の増加、製造施設の充実、有利な規制枠組みに支えられ、急速に拡大しています。東レの「レミッチ・ナルフラフィン塩酸塩ODT」は、2023年7月に中国のNMPAからそう痒症治療薬として承認されました。こうした進歩が医療分野の着実な成長に寄与し、市場の発展を後押ししています。
- インド-インドの医療市場は、研究・開発・製造センターへの大規模な投資によって成長しており、ODT市場成長のさらなる機会を生み出しています。例えば、DFEファーマは2022年5月にインドにセンター・オブ・エクセレンスを開設し、迅速な製剤サービスを提供しています。これらのサービスは、ODTを含む様々な特殊剤形の開発をサポートし、医薬品分野における同国の市場ポテンシャルを高めています。
- オーストラリア –オーストラリアのODT市場は、革新的で新規性の高い製剤に対する需要の高まりにより活況を呈しています。こうした進歩は、より便利な投薬方法を提供することで患者のコンプライアンスを向上させています。例えば、2024年10月にSwisse Wellness社がビタミン、ミネラル、サプリメントのODT製品ラインを発売し、オーストラリア市場におけるODT製品の利用可能性がさらに拡大し、摂取しやすい製剤への嗜好の高まりに対応しています。
セグメント分析
薬剤クラス別
抗精神病薬分野が最大の市場シェアを占めており、これは精神疾患の有病率の上昇と、服用しやすい薬への需要の高まりによるものです。研究開発努力により、メンタルヘルス治療用に調整された新しいODT製品の発売が促進され、このセグメントの優位性はさらに強固なものとなっています。Institute for Health Metrics and Evaluationによると、2021年には世界人口の13.9%が精神障害を経験するとされており、利用しやすい治療オプションの必要性が高まっています。
技術別
主に、乾式造粒、湿式造粒、直接圧縮などの手段の費用対効果と簡便性により、従来型分野が市場をリードしています。これらのプロセスは特殊な装置や条件を必要としないため、非常に効率的で大量生産に適応しやすい。また、製剤成分に応じてプラットフォームを柔軟に切り替えられることも、メーカー各社における従来技術の人気の一因となっており、ODT市場における優位性を高めています。
流通チャネル別
ODTの流通経路は病院薬局が圧倒的に多く、特に精神疾患、重症高血圧、胃腸障害、発作など、専門的な治療を必要とする疾患向けが中心です。これらの疾患は入院を必要とすることが多く、病院薬局は薬へのタイムリーなアクセスを提供するという重要な役割を担っています。このような治療薬の主要な流通チャネルとして医療システムにおいて不可欠な存在であることから、病院薬局セグメントは最大の市場収益を上げています。
口腔内崩壊錠市場の主要企業リスト
-
- Pfizer Inc.
- Teva Pharmaceuticals USA, Inc.
- GSK plc.
- Mylan N.V.
- Dr.Reddy’s Laboratories Ltd.
- Sun Pharmaceutical Industries Ltd.
- Eli Lilly and Company
- Zydus Group
- Novartis Pharmaceuticals Corporation
- Otsuka Pharmaceutical Co., Ltd.
- Aurobindo Pharma USA
- Alkem
- Lupin
- KalVista Pharmaceuticals
- Eisai Co., Ltd.
企業市場シェア
口腔内崩壊錠（ODT）市場の主要企業は、製品ポートフォリオの強化と市場への浸透を図るため、研究開発への投資と製造能力の拡大に積極的に取り組んでいます。これらの企業は、メンタルヘルス、胃腸障害、慢性疾患など幅広い治療用途に対応する革新的で最適化されたODT製剤の開発に注力しています。
カルビスタ・ファーマシューティカルズ 口腔内崩壊錠市場における新興プロバイダー
カルビスタ・ファーマシューティカルズは、経口プロテアーゼ阻害薬の画期的な開発で知られる口腔内崩壊錠（ODT）市場の新興企業です。同社は、カリクレイン・キニン系に関する深い専門知識を活用し、炎症や血管の健康など、さまざまな疾患に対する新規治療薬を開発しています。
最近の開発状況
- 2024年9月、カルビスタ・ファーマシューティカルズは、遺伝性血管性浮腫の経口オンデマンド治療薬Sebetralstatの新薬承認申請が米国食品医薬品局（FDA）に受理されたと発表しました。本薬は、12歳以上の成人および小児患者における遺伝性血管性浮腫（HAE）発作のオンデマンド治療を適応とする、新規の治験用経口血漿カリクレイン阻害剤です。
アナリストの見解
当社のアナリストによると、世界の口腔内崩壊錠市場は、いくつかの重要な要因によって力強い成長を遂げています。精神疾患、胃腸障害、高血圧症、片頭痛の有病率の上昇が、服用しやすい治療薬への需要を促進しています。さらに、革新的なODT製品の発売により患者のコンプライアンスが向上し、研究開発および製造施設への多額の投資が市場拡大をさらに後押ししています。
規制当局の支援は新製品の導入を促進する上で重要な役割を果たしており、共同研究は新規ドラッグデリバリーシステムの進歩を促進しています。しかし、このような前向きな傾向にもかかわらず、課題も残っています。製剤の複雑さ、製造コストの高さ、従来型の剤形に対する患者の嗜好といった問題は、市場浸透を遅らせる可能性があります。
さらに、市場は他の薬物送達手段との厳しい競争に直面しています。とはいえ、継続的な技術革新と戦略的パートナーシップによってこれらの課題を克服することで、ODT分野の長期的な成長は確保されるでしょう。
口腔内崩壊錠市場のセグメンテーション
薬剤クラス別（2021年〜2033年）
- 鎮痛薬
- 抗精神病薬
- 抗てんかん薬
- 胃腸薬
- 降圧剤
- その他
技術別 (2021-2033)
- 従来型
- フリーズドライ
- フロスベースの技術
流通チャネル別（2021-2033）
- 病院薬局
- ドラッグストアおよび小売薬局
- オンライン薬局
地域別（2021-2033年）
- 南米アメリカ
- ヨーロッパ
- アジア太平洋
- 中東・アフリカ
- ラテンアメリカ
目次
- ESGの動向
- 免責事項
エグゼクティブ・サマリー
調査範囲とセグメンテーション
市場機会評価
市場動向
市場評価
規制の枠組み
口腔内崩壊錠の世界市場規模分析
- 口腔内崩壊錠の世界市場紹介
- 薬物クラス別
- 薬物クラス別
- 金額別薬物クラス
- 鎮痛剤
- 金額別
- 抗精神病薬
- 金額別
- 抗てんかん薬
- 金額別
- 胃腸薬
- 金額別
- 降圧剤
- 金額別
- その他
- 金額別
- 薬物クラス別
- 技術別
- 技術紹介
- 金額別技術
- 従来技術
- 金額別
- フリーズドライ
- 金額別
- フロスベースの技術
- 金額別
- 技術紹介
- 流通チャネル別
- 導入
- 金額別流通チャネル
- 病院薬局
- 金額別
- ドラッグストア・薬局
- 金額別
- オンライン薬局
- 金額別
- 導入
南米アメリカの市場分析
ヨーロッパの市場分析
アジア太平洋市場の分析
中東・アフリカ市場の分析
ラテンアメリカ市場の分析
競争環境
市場プレイヤーの評価
調査方法
付録
