結石破砕装置市場規模と展望、2025年～2033年

**結石破砕装置市場に関する詳細分析レポート**

**1. 市場概要**

世界の結石破砕装置市場は、2024年に11億9,000万米ドルの規模に達し、2025年には12億5,000万米ドル、そして2033年までには18億3,000万米ドルに成長すると予測されています。予測期間（2025年～2033年）における年平均成長率（CAGR）は4.87%と見込まれており、着実な拡大が期待されています。

結石破砕（Lithotripsy）とは、腎臓結石やその他の尿路結石を治療するために用いられる医療手技であり、結石破砕装置はこの手技を実行するために特別に設計された医療機器を指します。その語源はギリシャ語に由来し、「lithos（石）」と「tripsis（砕く）」が組み合わさって「結石を砕く」という意味を持ちます。この手技の主な目的は、腎臓や尿路内の結石をより小さな粒子に破砕し、それらが自然に体外へ排出されるのを促進することにあります。

結石破砕装置には様々な種類が存在しますが、最も普及している技術の一つが体外衝撃波結石破砕術（Extracorporeal Shock Wave Lithotripsy; ESWL）です。これは、体外から発生させた衝撃波を結石に集中させることで破砕する非侵襲的な手法です。一方、体内結石破砕術（Intracorporeal Lithotripsy）は、特殊な器具を用いて結石に直接接触し、破砕を行います。これには、レーザーを用いて結石を粉砕するレーザー結石破砕術や、高周波の音波振動を利用する超音波結石破砕術などが含まれます。

市場成長の背景には、尿路結石症の世界的な発生率の増加があり、これは食生活の変化、ライフスタイルの変容、人口統計学的特性といった多岐にわたる要因と密接に関連しています。また、患者が従来の外科的アプローチよりも好む、非侵襲的または低侵襲的な手術に対する需要の高まりも、結石破砕装置市場の成長をさらに加速させています。

**2. 市場促進要因**

結石破砕装置市場の成長を牽引する主要な要因は以下の通りです。

* **尿路結石症の発生率の増加:**
尿路結石症は、腎盂から尿管、膀胱、尿道を含む尿路収集系の他の部位への結石の移動を特徴とする病理学的疾患です。この疾患の世界的な有病率は急速に上昇しており、食生活のパターン、ライフスタイルの変化、人口統計学的特性など、様々な要因に起因しています。国立医学図書館（NLM）に掲載された記事によると、世界の成人人口における結石症の有病率は1%から13%の範囲にあります。さらに、国際臨床実践ジャーナル（International Journal of Clinical Practice）に掲載された記事によれば、尿路結石症の発生率は、1990年の7,800万人から2019年には1億1,600万人へと、世界的に48.57%も増加しています。同じ情報源によると、尿路結石症による死亡者数も、1990年の11,338人から2019年には13,227人へと17.12%増加しています。これらの統計は、尿路結石症が公衆衛生上の大きな課題となっていることを示しており、結果として、効果的な治療法の開発に対するニーズが著しく高まっています。結石破砕装置は、この増大する医療ニーズに応える重要な手段として、その市場を拡大させています。

* **低侵襲・非侵襲手術への需要の高まり:**
結石破砕術は、従来の外科的アプローチと比較して、患者に好まれる非侵襲的または低侵襲的な手技です。非外科的手法を用いることで、外科的介入の必要性を軽減し、回復プロセスを迅速化し、外科手術に伴う一般的な合併症のリスクを低下させることができます。低侵襲治療は、リスクと身体への負担が少ないため、ますます普及しています。これらの手技は限定的な麻酔で実施可能であり、外科手術の適応とならない多くの患者にとって実行可能な選択肢となり得ます。低侵襲手術は、より迅速な回復時間、より小さな切開、瘢痕と痛みの軽減、精度の向上、入院期間の短縮など、数多くの利点を提供します。このような利点は、医療専門家が侵襲的な手技に代わる選択肢を提供しようと努める中で、結石破砕装置に対する市場需要を強く推進しています。患者のQOL（生活の質）向上への意識が高まる中、身体的・精神的負担の少ない治療法へのシフトは、結石破砕装置の普及をさらに後押しするでしょう。

**3. 市場抑制要因**

結石破砕装置市場の拡大を制限する要因も存在します。

* **高額な導入・維持費用:**
結石破砕装置の購入および維持に関連するコストは、非常に高額になる可能性があります。これらの装置は高度な技術を要するため、初期導入費用だけでなく、定期的なメンテナンス、消耗品の交換、専門技術者の確保など、運用コストも相当なものとなります。さらに、結石破砕治療の患者にとっての経済的負担も、市場拡大の制約となる可能性があります。特に、医療資金が限られている地域や、患者が費用の大部分を負担しなければならない地域では、この傾向が顕著です。例えば、2023年にオーストラリア保健福祉研究所（Australian Institute of Health and Welfare）が発表した記事によると、胆管結石に対する結石破砕手技の平均費用は2,100米ドルから3,300米ドルの範囲にあります。このような高額な費用は、特に発展途上国や医療保険制度が十分に整備されていない国々において、結石破砕装置の普及と市場拡大を妨げる要因となることが予想されます。

**4. 市場機会**

結石破砕装置市場には、将来の成長を促す大きな機会が存在します。

* **結石破砕手技および技術の急速な進歩:**
近年、結石破砕手技において目覚ましい技術革新が進行しています。
例えば、2017年10月には、医療機器メーカーであるLumenis Ltd.が、インドで泌尿器科用途向けの革新的なMosesホルミウム技術を発表しました。Moses技術の導入により、到達困難な部位の結石も外科的に治療できるようになり、完全に偏向したスコープを介した初期ファイバー挿入が容易になりました。この技術は、結石破砕中のレトロパルジョン（結石の後方移動）を大幅に減少させるように特別に設計されており、これにより結石の移動が著しく抑制され、より効率的な手技が実現されます。
さらに、2021年5月には、UCI Healthの泌尿器科医が、親指大の腎臓結石を100ミクロン以下の粉塵粒子にまで破砕できる新しいレーザー技術「超パルスツリウムファイバーレーザー」を試験しました。このツリウムファイバーレーザーは、現在ほとんどの泌尿器科医が使用しているホルミウムレーザーと比較して、腎臓結石を10倍も小さな破砕片に一貫して分解する能力を持っています。
これらのレーザー技術の進歩は、より効果的で安全、かつ効率的な結石破砕装置の開発を促進し、市場に新たな機会を創出しています。技術革新は、治療の成功率を高め、患者の回復を早め、合併症のリスクをさらに低減する可能性を秘めており、これにより結石破砕装置の需要は今後も拡大していくと予測されます。

**5. セグメント分析**

結石破砕装置市場は、装置の種類、用途、最終利用者によって詳細に分析されています。

* **装置の種類別:**
世界の結石破砕装置市場は、体外衝撃波結石破砕装置と体内結石破砕装置に大別されます。
* **体外衝撃波結石破砕装置（ESWL）:** このセグメントが世界の市場を支配しています。ESWLは、腎臓結石をより小さな破砕片に分解し、尿路を介した排出を容易にするために用いられる低侵襲的な医療介入です。この手法は、体外から発生させた衝撃波を結石に向けて照射することを伴います。衝撃波の発生は、通常、体外衝撃波結石破砕装置によって行われます。ESWLには、衝撃波を極めて精密に発生させ、集中させるための特殊な装置が利用されます。これらの装置は、多くの場合、患者ポジショニング装置、衝撃波発生装置、および手技をガイドするための画像診断技術（X線透視や超音波など）で構成されています。この手技は、適切な訓練を受けた医療専門家の厳格な監督の下で実施されなければなりません。その非侵襲性と高い効果性から、ESWLは引き続き主要な治療選択肢として位置づけられています。
* **体内結石破砕装置:** このセグメントには、レーザー結石破砕術や超音波結石破砕術など、結石に直接接触して破砕する技術が含まれます。内視鏡を用いて体内に挿入される細いプローブやファイバーを通じて、結石を直接視認しながら破砕するため、より正確な治療が可能です。特に、ESWLでは効果が得られにくい硬い結石や、特定の部位にある結石に対して有効な選択肢となります。

* **用途別:**
結石破砕装置市場は、腎臓結石、尿管結石、胆管結石、膵臓結石の治療用途に区分されます。
* **腎臓結石:** このセグメントが市場において最大の収益貢献者となっています。腎臓結石は、腎結石とも呼ばれ、腎臓システム内で形成される固形物です。尿中のカルシウム、シュウ酸塩、リン酸塩などの化学物質の濃度が高まり、その後の結晶化によって形成されます。結石の大きさは、微細な砂粒大からゴルフボール大の巨大なものまで様々です。腎臓結石の形成は多因子的なプロセスであり、遺伝的素因、食生活のパターン、水分摂取量など、幅広い要因によって影響を受けます。さらに、脱水、特定の医学的疾患、塩分や特定のミネラルが豊富な食事なども、腎臓結石の発生に影響を与える可能性があります。腎臓結石の高い有病率と、それに伴う治療ニーズが、このセグメントの市場シェアを牽引しています。
* **尿管結石、胆管結石、膵臓結石:** これらの用途も結石破砕装置の重要な市場を構成しています。特に尿管結石は、腎臓結石に次いで頻繁に治療される結石の一つです。胆管結石や膵臓結石に対する結石破砕術は、より専門的な手技を要しますが、これらの疾患の治療においても結石破砕装置は不可欠な役割を果たしています。

* **最終利用者別:**
世界の結石破砕装置産業は、病院、外来手術センター、およびその他の施設に区分されます。
* **病院:** 病院セグメントが最高の市場シェアを占めています。病院は、結石破砕手技の利用可能性と利点について、患者および紹介医の間での認識を高めることができます。これにより、より多くの患者が結石破砕治療を求めるようになり、結果として結石破砕装置の需要が増加します。また、多くの国々で病院の数が増加していることも、結石破砕装置の需要に好影響を与えています。例えば、アメリカ病院協会（American Hospital Association）の2021年年次調査によると、米国では2019年に1,805の地方コミュニティ病院、3,336の都市コミュニティ病院、およびシステムに属する3,453のコミュニティ病院が存在しました。病院は高度な医療設備と専門スタッフを擁しており、複雑な結石破砕手技にも対応できるため、主要な治療拠点となっています。
* **外来手術センター（ASC）:** 外来手術センターは、低侵襲手技の増加と、より費用対効果の高い治療オプションへの需要の高まりにより、市場シェアを拡大しています。ASCは、入院が不要な手技に特化しており、患者にとって利便性が高く、医療システム全体のコスト削減にも貢献します。
* **その他:** 大学病院、専門クリニックなども含まれます。

**6. 地域分析**

結石破砕装置市場は、地域によって異なる成長パターンと市場特性を示しています。

* **北米:**
北米は、世界の結石破砕装置市場において最も重要なシェアを占めており、予測期間中に大幅な拡大が期待されています。この地域は、先進的でスマートなヘルスケアサービス、優れた医療インフラ、および先進製品の高い採用率を持つ先進地域であり、これらが市場成長を強力に推進しています。この地域における結石破砕装置市場を牽引する主要な要因は、腎臓結石の有病率の急増です。米国人口の10%以上が生涯のある時点で腎臓結石を経験する可能性があります。さらに、米国は一人当たりGDPが46,760米ドル以上、一人当たり医療費支出が7,720米ドルと高く、これも結石破砕装置市場を活性化させています。加えて、市場の主要プレーヤーによる新製品の発売と承認の増加も、市場拡大を後押ししています。例えば、サンフランシスコのApplaud Medical社が開発したAcoustic Enhancer技術は、尿管鏡下レーザー結石破砕術（URS-LL）との統合を目的としています。これは、閉塞性のある、または泌尿器科医その他の有資格医師によって将来の閉塞のリスクが高いと判断されたカルシウム系尿路結石（最小直径6mm、最大直径20mm）を破砕するために設計されています。このような技術革新は、北米市場の競争力を高め、継続的な成長を保証しています。

* **欧州:**
欧州市場も著しい成長率で拡大すると予想されています。Eurostatのデータによると、2013年から2018年にかけて、欧州21加盟国のうち20カ国で低侵襲治療の件数が増加しました。これは、低侵襲手技への関心の高まりと、その普及を示唆しています。また、この地域の高齢者人口の増加も、低侵襲手技の利用を促進しています。Eurostatによれば、欧州人口に占める65歳以上の割合は、2010年の17.69%から2020年には20.69%へと上昇しており、高齢化社会の進展が低侵襲治療への需要を押し上げています。さらに、この地域では結石破砕装置に対する薬事承認が急増しています。例えば、Dornier社は、そのクラスIIb製品であるDornier UIMSTM（腎臓結石治療を支援する最先端の情報管理システム）と、同社の体外衝撃波結石破砕術（ESWL）技術を活用した高効率な結石破砕装置Dornier Delta® IIIの2製品について、MDR認証を取得しました。このような規制当局による承認は、市場への新製品導入を促進し、地域全体の市場拡大を加速させると期待されています。

* **アジア太平洋:**
アジア太平洋地域では、力強い経済成長が市場の成長に重要な役割を果たすと予想されています。巨大な人口と、中間層の購買力向上に伴う医療アクセスの改善が、この地域における低侵襲手術件数の増加を強く牽引すると見込まれています。低侵襲手術への選好が高まることは、結石破砕装置市場をさらに推進する要因となります。また、結石破砕技術の進歩自体も、アジア太平洋市場の拡大を刺激しています。経済発展に伴う医療インフラの整備と、医療技術への投資の増加が、この地域の結石破砕装置市場の潜在能力を最大限に引き出すでしょう。特に、中国やインドなどの新興国では、医療費支出の増加と医療観光の発展も市場成長に寄与すると考えられます。

Report Coverage & Structure

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