調味料・香辛料市場規模と展望、2025-2033年

## 調味料・香辛料市場に関する詳細な市場調査レポート概要

### 1. はじめに

調味料・香辛料市場は、その風味、香り、色、そして味を強化する能力により、世界中の食文化において不可欠な存在であり続けています。さらに、保存料や抗菌剤としての役割も果たしてきました。しかし近年、この市場は単なる風味付けの域を超え、その多様な健康効果に注目が集まることで、新たな成長局面を迎えています。特に東南アジアや南アジア諸国では、ハーブや香辛料の薬効に対する消費者の意識が高まっており、これらが日々の食事に広く取り入れられています。抗酸化作用を持つものから、特定の疾病の予防・治療に役立つとされるものまで、調味料・香辛料は現代の健康志向の高まりとともにその価値を再認識されています。

### 2. 市場概要

調味料・香辛料の世界市場規模は、2024年に246億5000万米ドルと評価されました。その後、2025年には260億1000万米ドルに達し、2033年までに421億1000万米ドルへと成長することが予測されています。この予測期間（2025年～2033年）における年平均成長率（CAGR）は5.5%と見込まれており、堅調な拡大が期待されます。

この成長の背景には、調味料・香辛料が持つ多岐にわたる機能性への関心の高まりがあります。従来からの風味や味覚の向上に加え、健康上の利点が重視されるようになっています。例えば、ターメリックは強力な抗酸化作用を持ち、アルツハイマー病、癌、関節炎などの予防に寄与するとされています。クミンシードには殺菌作用があり、免疫システムの強化に役立ちます。さらに、これらの成分は医薬品や化粧品の製造にも応用されており、ブラックペッパーパウダーは医薬品製造において癌、肺炎、消化器系の問題の治療に頻繁に利用されています。このように、調味料・香辛料は食品用途だけでなく、より広範な分野での応用可能性を秘めており、その市場価値を一層高めています。

### 3. 市場の推進要因

調味料・香辛料市場の成長を牽引する主要な要因は、以下の三点に集約されます。

#### 3.1. 香辛料・ハーブの薬効に対する意識の高まり

香辛料は、その独特の風味と味覚に加え、健康上の利点との関連性から、商業部門と家庭部門の両方で顕著な需要を経験しています。多くの香辛料は抗酸化作用を持ち、様々な病気や健康問題の治療に有用であると認識されています。例えば、ターメリックは豊富な抗酸化物質の供給源であり、アルツハイマー病、関節炎、癌などの病気を予防するのに役立ちます。同様に、クミンシードは殺菌特性を含み、免疫システムを強化するのに貢献します。これらの特性は、医薬品や美容製品の代替品としても利用される可能性を秘めています。ブラックペッパーパウダーは、胃の不調、気管支炎、風邪の治療によく使用され、皮膚に直接塗布することで疥癬や神経痛の治療にも用いられます。

このような製品に関連する特性は、多数の医薬品の調合におけるその応用を増加させています。さらに、様々な科学的研究が香辛料の薬効を裏付けていることから、世界中で香辛料に対する消費者の関心が高まっています。調味料・香辛料企業もまた、これらの製品の薬効に焦点を当てることでプロモーション活動を強化しています。

特に、COVID-19のパンデミック発生は、免疫力を高めるのに役立つターメリック、ニンニク、ショウガなどの香辛料の需要を劇的に増加させました。これらの香辛料は、小売価格が高騰したにもかかわらず、世界中で強い需要を目の当たりにしました。一部の政府は、この高まる需要に応えるため、香辛料の生産を促進する取り組みを行っています。例えば、インド政府は、国境封鎖中にターメリックの生産を強化するため、官民パートナーシップに注力することを決定しました。

#### 3.2. エスニック料理の人気上昇

消費者が新しい風味やエスニックな味を試す意欲が高まっていることにより、エスニック製品の需要が増加しており、これが調味料・香辛料市場の拡大を促進しています。米国やヨーロッパなどの先進国では、日本料理レストランが自然な風味と軽い味付けによって著しい成長を遂げています。同様に、メキシコ料理、イタリア料理、インド料理、中華料理を提供するレストランも世界的に増加しています。本物の食材やエスニックな風味の融合に対する需要の急増が市場を牽引しています。

例えば、ハラペーニョペッパー、タコスシーズニング、チリパウダー、ファヒータシーズニングミックス、チポトレ、コリアンダー、クミン、シナモン、パプリカなどは、ラテン料理に使われる主要な調味料・香辛料です。ほとんどのメキシコ料理レストランでは、本格的な料理のためにスパイスブレンドを提供しています。米国のフードサービス部門では、移住者と地元消費者の両方からのメキシコ料理への需要を満たすためにこれらの製品を使用しています。ヒスパニック料理の人気が高まるにつれて、ハラペーニョペッパー、チリペッパー、タコスシーズニングミックス、ブラックペッパー、その他のコショウの需要が米国全体で著しく増加しました。その結果、これらは消費者の間で一般的に購入される調味料・香辛料となっています。さらに、米国におけるヒスパニック系およびアジア系人口の増加は、国の食生活に新しい風味を取り入れる結果となり、様々な風味が家庭のキッチンやレストランのメニューに確固たる地位を築いています。

#### 3.3. 調理済みスパイスミックスの需要増加と革新的な製品開発

調理済みスパイスミックスは、時間と労力を節約できるという特徴から、消費者の間で人気が高まっています。これらのプレミックスパッケージは、最小限の労力で料理の味に一貫性をもたらします。親の多忙な仕事スケジュールや、労働力としての女性の増加といった要因が、調理済みスパイスミックスの需要を牽引しています。

また、特定の異国情緒あふれる料理のために作られた新しい種類の芳香性スパイスやフュージョンスパイスが消費者の間で注目を集めており、世界の市場を活性化させています。これにより、消費者は自宅で手軽に多様な国際料理の風味を再現できるようになり、調味料・香辛料の消費機会が拡大しています。

### 4. 市場の阻害要因

調味料・香辛料市場の成長を妨げる主要な要因は、主要生産国における不安定な気候変動です。

#### 4.1. 主要生産国における不安定な気候

洪水、干ばつ、地震、病害、霜などの悪天候や自然災害は、調味料・香辛料の生産に深刻な影響を与えます。このため、業界における原材料価格はしばしば変動し、香辛料やハーブの製造および加工費用全体を増加させます。製造業者は、主にアジア諸国の農家や供給業者に依存しているため、いかなる自然災害や悪天候も、市場参加者に多大な損失をもたらす可能性があります。

国際コショウコミュニティによると、インドのブラックペッパー生産量は、2013年の63,000トンから2014年には36,000トンに減少しました。同様に、2015年の69,000トンから2016年には47,500トンに減少しました。インドの主要なコショウ栽培州であるケララ州とタミル・ナードゥ州における時期外れの雨と深刻な干ばつが、生産量減少の主な理由でした。さらに、カルナータカ州の一部の地域では、病害虫の発生により香辛料生産も被害を受けました。農家が良質なブラックペッパー作物を生産できなかったため、国内供給と輸出の両方が打撃を受けました。インドネシアの生産量でも同様の傾向が見られます。

悪天候は作物の生産性を妨げるだけでなく、国内外での製品全体の市場需要も減少させます。雨不足が発生すると、ブラックペッパーのバリューチェーンが深刻に混乱し、その結果、商品の価格が高騰します。このような要因が市場の成長を妨げています。

### 5. 市場機会

調味料・香辛料市場には、以下の要因によって新たな成長機会が生まれています。

#### 5.1. 調味料・香辛料の健康効果と新しい食習慣への融合

調味料・香辛料は、世界中で最も一般的に消費される調理材料の一つです。ほとんどの料理には調味料・香辛料が必要であり、これが消費者の間で需要を生み出しています。同様に、地域のエスニック料理への関心の高まりが、世界中で製品の採用を拡大させています。さらに、様々なハーブは、サートフードダイエットやパレオダイエットなどの現代的な食習慣にもよく溶け込んでいます。そのため、これらの製品の採用は世界中で増加しています。

香辛料やハーブは、その健康上の利点のために消費されることがよくあります。例えば、COVID-19の発生は、風邪の予防や免疫力の向上に役立つ香辛料やハーブの需要を押し上げました。いくつかの香辛料やハーブは、塩の代替品としても販売されています。その結果、ミント、ナツメグ、バジル、ローズマリー、カルダモン、シナモン、チリ、チャイブ、コリアンダー、クミン、ショウガ、ディル、オレガノ、パプリカ、セージ、タイム、パセリ、ターメリックなどが多くの料理で人気を集めています。ユニリーバのような大手食品企業は、ハーブで塩分を置き換えることで、塩分摂取量を減らすようにレシピを変更しています。これらの要因は、予測期間中の市場成長に機会をもたらします。

#### 5.2. 新製品投入による市場拡大

特定の顧客層に対応するための、様々な調味料・香辛料の混合製品が世界市場に導入されています。例えば、高血圧患者向けに低ナトリウム塩が導入されています。このような新製品の発売は、世界市場におけるこれらの製品の需要を促進し、市場の多様化と拡大に貢献しています。消費者の健康志向や特定のニーズに応える製品開発は、今後も市場成長の重要な原動力となるでしょう。

### 6. セグメント分析

調味料・香辛料の世界市場は、製品別および用途別に分類されています。

#### 6.1. 製品別

製品別では、ハーブ（ローズマリー、フェンネル、ニンニク、ミント、パセリ、オレガノなど）、塩および塩代替品、香辛料（コショウ、ショウガ、シナモン、クミン、ターメリック、カルダモン、コリアンダー、クローブなど）に大別されます。

##### 6.1.1. 香辛料セグメント

香辛料セグメントは世界市場を支配しており、予測期間中に6.01%のCAGRを示すと予測されています。消費者の食の好みが様々なアジア料理や中東料理へと移行していることが、世界的な香辛料の需要を促進しています。ヨーロッパや北米の顧客は、自国の料理に様々な香辛料を使用し始めており、世界市場における香辛料の新たな機会を開拓しています。グローバル化、都市化、所得水準の上昇が、顧客の食の好みを変化させる主要な要因です。

さらに、観光・ホスピタリティ産業の隆盛により、世界中でアジア料理の需要が増加しています。顧客は料理を美味しくするために数多くの食材を利用し始め、料理の際に様々な料理を試しています。これにより、ハーブにも新たな可能性が開かれました。また、特定の顧客に対応するため、様々な香辛料とハーブの混合製品が世界市場に導入されています。例えば、高血圧患者向けに低ナトリウム塩が導入されています。このような新製品の発売が、世界市場におけるこれらの製品の需要を促進しています。

##### 6.1.2. ハーブセグメント

ハーブセグメントの成長は、ニンニク、パセリ、オレガノ、フェンネル、ペパーミント、バジルなどのハーブが持つ多くの健康上の利点に起因しています。世界中の人々は、これらのハーブをその味だけでなく、並外れた薬効目的のためにますます使用しています。例えば、ニンニクは強い匂いと美味しい味で知られていますが、一般的なインフルエンザや関連する感染症にも非常に有益です。また、高血圧や心血管疾患の治療にも役立ちます。多くのハーブは独自の健康上の利点と特定の味を持っており、これにより市場に新たな可能性が生まれています。さらに、フェンネルは便秘、消化不良、膨満感の治療に役立ち、バジルは様々な細菌、酵母、カビの増殖を抑制することができます。オレガノは、その味と優れた抗菌特性により、消費者の間で人気が高まっています。

#### 6.2. 用途別

用途別では、ベーカリー・菓子製品、食肉・鶏肉製品、冷凍食品、スープ、ソース・ドレッシング、飲料、その他に二分されます。

##### 6.2.1. 食肉・鶏肉製品セグメント

食肉・鶏肉製品セグメントは最大の市場シェアを占めており、予測期間中に6.61%のCAGRを示すと予測されています。食肉・鶏肉製品は、消費者の毎日の食事に重要な栄養的貢献をしています。過去数年間で、食肉産業は世界中で重要な変化を遂げてきました。従来の食肉製品の製造に加え、業界参加者は、世界中の消費者の変化する好みや嗜好に対応するため、特殊な食材を使用した製品を開発・生産しています。

様々な調味料・香辛料を使用することで、従来の食肉製品に多様性をもたらし、その美的魅力を高め、全体的な品質を向上させてきました。例えば、ニンニク、コショウの実、パン粉は、様々な食肉製品に加えられ、その風味と香りを高めます。そのため、業界関係者は、新しくエキサイティングな組み合わせで継続的に革新を進めています。この傾向は、消費者がより健康的で、かつ風味豊かな食肉製品を求める中で、今後も加速していくと見られています。

### 7. 地域分析

調味料・香辛料の世界市場は、北米、ヨーロッパ、アジア太平洋、中東・アフリカ、中南米に区分されています。

#### 7.1. アジア太平洋地域

アジア太平洋地域は、世界市場で最も重要なシェアを占めており、予測期間中に6.5%のCAGRで成長すると予測されています。この地域の消費者、特に東南アジアや南アジア諸国では、ハーブを日々の料理に extensively 使用しています。ハーブの高い消費量は、主に食品の風味を高め、その薬効を享受するために、世代から世代へと受け継がれてきたアジアの伝統に起因しています。

アジア諸国、特にインドでは、ニンニクがカレーパウダー、漬物、カレー風味の野菜、トマトケチャップ、肉料理など、数多くの食品調理に利用されています。さらに、この地域の急速に成長する中間層人口が、タンパク質消費を促進しています。Asia Research and Engagement (ARE) のレポートによると、アジアにおける魚介類および肉の消費量は、2030年までに33%増加すると予想されています。この成長は、食肉・鶏肉部門における調味料・香辛料の応用を増加させるでしょう。伝統的な利用法と経済成長が相まって、アジア太平洋地域は引き続き調味料・香辛料市場の主要な成長エンジンとなることが見込まれます。

#### 7.2. 北米

北米は、予測期間中に6.1%のCAGRを示すと推定されています。米国では調味料・香辛料の人気が高まっており、コショウとシナモンが同国で最も広く輸入されている香辛料です。過去数年間で、クミン、パプリカ、ターメリックは、インド料理、韓国料理、エチオピア料理などの国際料理をメニューに加えることで、フードサービス部門で評価を高めています。

グルテンフリー、高繊維、低炭水化物製品の導入が増加していることが、全国の健康志向の消費者の増加により、ベーカリー産業を活性化させています。これは、ベーカリーおよび菓子製品に使用される様々な調味料・香辛料の需要に直接影響を与える可能性が高いです。新しい風味とより健康的な食材への関心の高まりが、予測期間中の市場成長を推進するでしょう。特に、多様な食文化が共存する北米では、消費者の嗜好の多様化が調味料・香辛料の幅広い需要を生み出しています。

#### 7.3. ヨーロッパ

ヨーロッパは、予測期間中に指数関数的なCAGRを示すと予想されています。ヨーロッパは主にアジア諸国から香辛料を輸入しています。この地域の調味料・香辛料の主要な消費国は、英国、フランス、ドイツ、ルーマニア、ハンガリー、オランダです。顧客は調味料・香辛料の品質と原産地に対する意識が高まっており、天然およびオーガニック製品の需要を押し上げています。

香辛料と調味料の主要ブランドには、Spice Islands、Tone’s、Seven Hillsがあり、市場の著名なプレーヤーには、British Pepper & Spice、General Mills、Bart Spicesが含まれます。さらに、この地域ではエスニック料理の需要が増加しており、絶妙な香辛料の需要を促進しています。ほとんどの消費者は多忙なライフスタイルとスケジュールのため、食事の準備に費やす時間が少なくなっています。その結果、時間と労力を節約できる既製スパイスミックスの消費が著しく増加しています。ヨーロッパ市場では、健康志向、品質へのこだわり、そして利便性の追求が、調味料・香辛料の消費動向を形成する主要な要素となっています。

#### 7.4. 中東・アフリカ、中南米

中東・アフリカ、中南米地域についても、地域固有の食文化と人口増加に伴う需要拡大が見込まれますが、本レポートでは詳細なデータは提供されていません。しかし、これらの地域もまた、調味料・香辛料の多様な用途と健康効果への関心の高まりにより、潜在的な成長市場として注目されています。

### 8. 結論

調味料・香辛料市場は、伝統的な料理用途から健康志向の高まり、エスニック料理の世界的な普及、そして利便性を追求する現代のライフスタイルまで、多岐にわたる要因によって力強く成長しています。薬効への意識向上や新製品の開発は市場機会を創出し、特にアジア太平洋地域、北米、ヨーロッパが主要な成長地域として牽引しています。一方で、気候変動による原材料供給の不安定性は市場の阻害要因として存在しますが、業界全体としては、消費者の多様なニーズに応えるための革新と適応を通じて、今後も持続的な成長が期待されるでしょう。調味料・香辛料は、単なる食材を超え、健康、文化、そしてライフスタイルを豊かにする重要な要素として、その存在感を増しています。

Report Coverage & Structure

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