コルチコステロイド市場：規模・シェア分析、成長動向と予測 (2025年～2030年)

コルチコステロイド市場は、2025年から2030年の期間において、その規模、トレンド、シェアが注目されています。本市場は、製品（糖質コルチコイド、鉱質コルチコイド）、投与経路（局所ステロイド、吸入ステロイドなど）、用途（リウマチ適応症など）、流通チャネル（病院薬局、小売薬局など）、および地域（北米、ヨーロッパ、アジア太平洋など）によってセグメント化されており、市場規模は米ドルで評価されています。

市場全体像

コルチコステロイド市場は、2025年に58.9億米ドルと評価され、2030年までに77.5億米ドルに達すると予測されており、予測期間中の年平均成長率（CAGR）は5.64%で拡大する見込みです。この需要の増加は、改訂された臨床ガイドラインにより吸入療法が第一選択薬として位置づけられたこと、およびより安全な経口・非経口製剤の迅速承認が進んでいることに起因しています。デジタル吸入器、選択的糖質コルチコイド受容体モジュレーター、および配合剤は、治療の有用性を広げています。

競合環境は、迫りくる特許切れに先立つライフサイクル管理へと移行しており、メーカーは価格圧力に対応するため生産の現地化を進めています。アジア太平洋地域は、規制の収束とOTC（一般用医薬品）の自由化に牽引され、最も急速に成長している地域です。一方、北米は引き続き最大の収益を上げています。

主要なレポートのポイント

* 製品別: 2024年には糖質コルチコイドがコルチコステロイド市場シェアの76.34%を占めました。鉱質コルチコイドは2030年までに6.21%のCAGRで成長すると予測されています。
* 投与経路別: 2024年には吸入ステロイドが収益シェアの38.89%を占めました。全身および非経口製剤は、2030年まで6.24%のCAGRで拡大すると予測されています。
* 用途別: 2024年には呼吸器疾患がコルチコステロイド市場規模の35.64%を占めました。リウマチ適応症は2030年まで6.34%のCAGRで成長しています。
* 流通チャネル別: 2024年には病院薬局が54.76%のシェアで市場をリードしました。オンライン薬局は2030年まで6.44%のCAGRで成長すると予測されています。
* 地域別: アジア太平洋地域は6.56%のCAGRで最も急速に成長している地域です。北米は2024年に40.44%のシェアで最大の収益貢献地域でした。

コルチコステロイド市場のトレンドと洞察

促進要因

1. 高齢者人口の増加と慢性疾患の蔓延: 高齢者人口の増加は、慢性炎症性疾患の症例数を押し上げ、ステロイド治療の早期介入と治療期間の長期化を促しています。集中治療の最新情報では、敗血症性ショックやARDS（急性呼吸窮迫症候群）に対するコルチコステロイドの使用が挙げられており、全身性使用が拡大しています。この要因は、CAGR予測に+1.2%の影響を与え、北米とヨーロッパを中心に世界的に長期的な影響（4年以上）をもたらします。
2. 自己免疫疾患および炎症性疾患の有病率の上昇: 自己免疫疾患の発生率が上昇しており、個別化された多分野にわたるケアパスウェイが求められています。併用緩和療法からのデータは、増悪が著しく少ないことを示しており、吸入ステロイドの位置づけを強化しています。この要因は、CAGR予測に+0.9%の影響を与え、先進国市場でより大きな影響を伴い、世界的に中期的な影響（2～4年）をもたらします。
3. 喘息/COPDガイドライン改訂による吸入コルチコステロイドの使用拡大: 米国、カナダ、ヨーロッパの呼吸器学会は、SABA（短時間作用型β2刺激薬）単独療法から脱却し、吸入コルチコステロイド/ホルモテロール吸入器を初期治療として導入しました。デジタルヘルスアドオンは、アドヒアランスの改善と喘息コントロールテストスコアの向上を示しており、コネクテッドICS（吸入コルチコステロイド）デバイスの需要を増幅させています。この要因は、CAGR予測に+1.1%の影響を与え、北米とヨーロッパでの早期採用を伴い、世界的に短期的な影響（2年以内）をもたらします。
4. 新興市場における低力価局所ステロイドのOTC利用拡大: 新興市場の規制当局は、新しい非処方箋フレームワークの下で、軽度局所コルチコステロイドの処方箋からOTCへの切り替えを承認しています。多国籍企業や地元のジェネリック医薬品企業は、手頃な価格の製品展開を加速させています。この要因は、CAGR予測に+0.8%の影響を与え、APAC、ラテンアメリカ、中東・アフリカで中期的な影響（2～4年）をもたらします。
5. 選択的糖質コルチコイド受容体モジュレーター（SEGRMs）の開発: 選択的糖質コルチコイド受容体モジュレーターの開発は、抗炎症作用を維持しつつ、コルチコステロイドの副作用を軽減することを目的としています。この要因は、CAGR予測に+0.7%の影響を与え、当初は北米とヨーロッパで、その後世界的に長期的な影響（4年以上）をもたらします。
6. アドヒアランスを向上させるデジタル/コネクテッド薬物送達デバイス: デジタル技術を統合した薬物送達デバイスは、患者のアドヒアランスを向上させ、治療効果を高める可能性を秘めています。この要因は、CAGR予測に+0.6%の影響を与え、北米とヨーロッパで、その後APACに拡大し、中期的な影響（2～4年）をもたらします。

抑制要因

1. 政府による価格圧力とジェネリック医薬品の浸食: 米国における交渉による薬剤価格設定制度や、中国における積極的な償還交渉は、ブランド医薬品の利益率を圧迫しています。主要な吸入器や局所ブランドは2025年に独占権を失い、低価格のジェネリック医薬品が市場シェアを急速に奪う可能性があります。この要因は、CAGR予測に-1.4%の影響を与え、北米とヨーロッパで最も大きな影響を伴い、世界的に短期的な影響（2年以内）をもたらします。
2. コルチコステロイドの長期使用による有害事象: 長期使用による全身性および局所性の有害事象は、患者の治療アドヒアランスを低下させ、代替治療法への移行を促す可能性があります。特に、骨粗鬆症、感染症のリスク増加、皮膚の菲薄化などが懸念されます。この要因は、CAGR予測に-0.9%の影響を与え、世界的に長期的な影響（4年以上）をもたらします。

3. 規制当局による承認の遅延と厳格化: 新規の薬物送達システムや製剤に対する規制当局の審査は、安全性と有効性に関する懸念から、ますます厳格化しています。これにより、市場投入までの期間が延長され、開発コストが増加する可能性があります。この要因は、CAGR予測に-0.5%の影響を与え、北米とヨーロッパで最も顕著な影響を伴い、中期的な影響（2～4年）をもたらします。

4. 患者の誤用と不適切なデバイス使用: 特に吸入器や注射器などの複雑なデバイスは、患者による誤用や不適切な使用が治療効果を低下させるリスクがあります。不適切な使用は、薬剤の送達効率を損ない、治療失敗につながる可能性があります。この要因は、CAGR予測に-0.4%の影響を与え、世界的に短期的な影響（2年以内）をもたらします。

このレポートは、コルチコステロイド市場に関する包括的な分析を提供しており、市場の定義、調査方法、主要な推進要因と抑制要因、市場規模の予測、および競争環境について詳述しています。

1. 市場の定義と範囲
Mordor Intelligenceによると、コルチコステロイド市場は、炎症や免疫反応を調節する処方薬および病院で調剤されるグルココルチコイドおよびミネラルコルチコイド薬から生じる世界的な収益を対象としています。本調査は、外用、吸入、経口、非経口の投与経路を通じて販売される製品を追跡し、喘息、慢性閉塞性肺疾患（COPD）、皮膚科、リウマチ科、内分泌科、消化器科、急性期医療など、幅広い治療分野をカバーしています。ただし、市販の化粧品クリーム、アナボリックステロイド、および獣医用製剤は、治療に特化した焦点を明確に保つため、本調査の範囲には含まれていません。

2. 市場の推進要因
コルチコステロイド市場の成長を促進する主な要因は以下の通りです。
* 高齢者人口の増加と慢性疾患の蔓延: 高齢者人口の増加と慢性疾患の有病率の上昇が、コルチコステロイドの需要を押し上げています。
* 自己免疫疾患および炎症性疾患の有病率の上昇: これらの疾患の患者数増加に伴い、コルチコステロイドの使用が拡大しています。
* 喘息/COPDガイドラインにおける吸入コルチコステロイドの使用拡大: 最新の治療ガイドラインで吸入コルチコステロイドの推奨が拡大しています。
* 新興市場における低力価外用ステロイドのOTC（市販）利用の拡大: 新興市場での市販薬としての入手容易性が市場成長に寄与しています。
* 選択的グルココルチコイド受容体モジュレーター（SEGRMs）の開発: 副作用を軽減しつつ効果を維持する新たな治療選択肢として期待されています。
* デジタル/コネクテッドドラッグデリバリーデバイスによる服薬遵守の向上: 患者の服薬遵守率向上と治療効果の改善が、コルチコステロイド製品の需要を後押ししています。

3. 市場の抑制要因
一方で、市場の成長を妨げる要因も存在します。
* 政府による価格圧力とジェネリック医薬品の浸食: 各国政府による価格圧力やジェネリック医薬品の市場参入が、ブランド医薬品の収益を圧迫しています。
* コルチコステロイドの長期使用による有害事象: 長期使用に伴う骨粗鬆症や糖尿病などの有害事象が、使用を制限する要因となっています。
* 新規製剤に対する厳格な規制審査: 新しい製剤の開発には厳格な規制審査が伴い、市場投入までの時間とコストが増大します。
* ステロイド温存代替薬としての生物製剤およびJAK阻害剤の台頭: これらの代替治療薬の登場が、従来のコルチコステロイドの需要に影響を与えています。

4. 市場のセグメンテーション
コルチコステロイド市場は、製品（グルココルチコイド、ミネラルコルチコイド）、投与経路（外用、吸入、経口、全身/非経口など）、用途（リウマチ、皮膚科、内分泌科、消化器科、呼吸器疾患など）、流通チャネル（病院薬局、小売薬局、オンライン薬局）、および地域（北米、欧州、アジア太平洋、中東・アフリカ、南米の主要国を含む）別に詳細に分析されています。

5. 市場規模と成長予測
世界のコルチコステロイド市場は、2025年に58.9億米ドルと評価されており、予測期間（2025-2030年）中に4.3%の複合年間成長率（CAGR）を記録し、2030年には77.5億米ドルに達すると予測されています。
製品タイプ別では、グルココルチコイドが市場シェアの76.34%を占め、幅広い治療用途と継続的な製剤改良に支えられ、市場をリードしています。
地域別では、アジア太平洋地域が6.56%のCAGRで最も急速に成長する地域と見込まれています。これは、規制の収束、OTCアクセス（市販薬としての入手性）の拡大、および製造能力の拡大が主な要因です。

6. 主要な質問への回答
レポートでは、市場に関するいくつかの重要な質問に回答しています。
* デジタル吸入器の影響: コネクテッド吸入器は、服薬遵守と喘息コントロールを向上させ、吸入コルチコステロイドの需要を高めています。
* 生物製剤の脅威: 生物製剤とJAK阻害剤はステロイド温存の選択肢を提供し、高用量使用を減らす一方で、選択的受容体モジュレーターの開発を促進しています。
* 特許切れの影響: 2025年の特許切れはジェネリック医薬品の参入を促し、特に北米と欧州で価格競争を激化させると予想されます。

7. 競争環境
市場の競争環境は、市場集中度、市場シェア分析、および主要企業のプロファイルによって評価されています。主要企業には、Pfizer Inc.、GlaxoSmithKline plc、AstraZeneca plc、Novartis AG、Sanofi S.A.、Merck & Co., Inc.、Johnson & Johnson、Cipla Ltd.、LEO Pharma A/S、Bayer AG、Teva Pharmaceutical Industries Ltd.、Viatris Inc.、Sun Pharmaceutical Industries Ltd.、Lupin Ltd.、Hikma Pharmaceuticals plc、Bausch Health Companies Inc.、Glenmark Pharmaceuticals Ltd.、Kyowa Kirin Co., Ltd.、Orion Corporation、Mallinckrodt plcなどが含まれます。

8. 調査方法の信頼性
Mordor Intelligenceのコルチコステロイド市場のベースラインは、その信頼性が強調されています。市場価値が調査会社によって異なるのは、調査範囲、価格基準、更新頻度の違いによるものです。Mordor Intelligenceは、明確に定義された治療境界、混合価格設定、および年次更新により、信頼性の高いベースラインを提供しています。
調査は、公開情報源を用いたデスクリサーチと、病院薬剤師、呼吸器科医、皮膚科医、ジェネリック医薬品メーカーの調達責任者、流通業者などへの一次調査（インタビュー）を組み合わせて行われます。これにより、二次情報源では捉えきれない情報も検証されます。
市場規模の算出と予測は、国民処方量、1日あたりの定義用量（DDD）ガイドライン、輸出入フローをトップダウンで分析し、サプライヤーの集計やチャネルの平均販売価格（ASP）と販売量のスナップショットといったボトムアップチェックと照合することで、精度を高めています。最終的なデータは、多段階の検証プロセスを経て、年に一度更新されます。重大な事象が発生した場合には、中間改訂が行われます。
Mordor Intelligenceの規律ある範囲選択、変数の透明性、および混合モデリングは、意思決定者が自信を持って追跡・再現できるバランスの取れたベースラインを提供します。

1. はじめに

• 1.1 調査の前提と市場の定義

• 1.2 調査範囲

2. 調査方法

3. エグゼクティブサマリー

4. 市場概況

• 4.1 市場概要

• 4.2 市場の推進要因
  • 4.2.1 高齢者人口の増加と慢性疾患

  • 4.2.2 自己免疫疾患および炎症性疾患の有病率の上昇

  • 4.2.3 更新された喘息/COPDガイドラインにおける吸入ステロイド薬の使用拡大

  • 4.2.4 新興市場における低力価外用ステロイドのOTCでの幅広い入手可能性

  • 4.2.5 選択的グルココルチコイド受容体モジュレーター（SEGRM）の開発

  • 4.2.6 アドヒアランスを向上させるデジタル/コネクテッド薬物送達デバイス

• 4.3 市場の阻害要因
  • 4.3.1 政府による価格圧力とジェネリック医薬品の浸食

  • 4.3.2 長期的なコルチコステロイド使用による有害事象

  • 4.3.3 新しい製剤に対する厳格な規制審査

  • 4.3.4 ステロイド温存代替薬としての生物学的製剤およびJAK阻害剤

• 4.4 ポーターの5つの力分析
  • 4.4.1 買い手/消費者の交渉力

  • 4.4.2 供給者の交渉力

  • 4.4.3 代替品の脅威

  • 4.4.4 競争の激しさ

5. 市場規模と成長予測（金額、米ドル）

• 5.1 製品別
  • 5.1.1 糖質コルチコイド

  • 5.1.2 鉱質コルチコイド

• 5.2 投与経路別
  • 5.2.1 外用ステロイド

  • 5.2.2 吸入ステロイド

  • 5.2.3 経口剤

  • 5.2.4 全身性 / 非経口剤

  • 5.2.5 その他

• 5.3 用途別
  • 5.3.1 リウマチ性疾患

  • 5.3.2 皮膚科 / 皮膚アレルギー

  • 5.3.3 内分泌学

  • 5.3.4 消化器病学

  • 5.3.5 呼吸器疾患

  • 5.3.6 その他

• 5.4 流通チャネル別
  • 5.4.1 病院薬局

  • 5.4.2 小売薬局

  • 5.4.3 オンライン薬局

• 5.5 地域別
  • 5.5.1 北米

  • 5.5.1.1 米国

  • 5.5.1.2 カナダ

  • 5.5.1.3 メキシコ

  • 5.5.2 欧州

  • 5.5.2.1 ドイツ

  • 5.5.2.2 英国

  • 5.5.2.3 フランス

  • 5.5.2.4 イタリア

  • 5.5.2.5 スペイン

  • 5.5.2.6 その他の欧州

  • 5.5.3 アジア太平洋

  • 5.5.3.1 中国

  • 5.5.3.2 日本

  • 5.5.3.3 インド

  • 5.5.3.4 オーストラリア

  • 5.5.3.5 韓国

  • 5.5.3.6 その他のアジア太平洋

  • 5.5.4 中東およびアフリカ

  • 5.5.4.1 GCC

  • 5.5.4.2 南アフリカ

  • 5.5.4.3 その他の中東およびアフリカ

  • 5.5.5 南米

  • 5.5.5.1 ブラジル

  • 5.5.5.2 アルゼンチン

  • 5.5.5.3 その他の南米

6. 競合情勢

• 6.1 市場集中度

• 6.2 市場シェア分析

• 6.3 企業プロファイル（グローバルレベルの概要、市場レベルの概要、主要セグメント、利用可能な財務情報、戦略情報、主要企業の市場ランク/シェア、製品&サービス、および最近の動向を含む）
  • 6.3.1 ファイザー株式会社

  • 6.3.2 グラクソ・スミスクライン plc

  • 6.3.3 アストラゼネカ plc

  • 6.3.4 ノバルティス AG

  • 6.3.5 サノフィ S.A.

  • 6.3.6 メルク・アンド・カンパニー・インク

  • 6.3.7 ジョンソン・エンド・ジョンソン

  • 6.3.8 シプラ株式会社

  • 6.3.9 レオファーマ A/S

  • 6.3.10 バイエル AG

  • 6.3.11 テバ製薬工業株式会社

  • 6.3.12 ヴィアトリス株式会社

  • 6.3.13 サン・ファーマシューティカル・インダストリーズ株式会社

  • 6.3.14 ルピン株式会社

  • 6.3.15 ヒクマ・ファーマシューティカルズ plc

  • 6.3.16 バウシュ・ヘルス・カンパニーズ・インク

  • 6.3.17 グレンマーク・ファーマシューティカルズ株式会社

  • 6.3.18 協和キリン株式会社

  • 6.3.19 オリオン・コーポレーション

  • 6.3.20 マリンクロット plc

7. 市場機会&将来展望