使い捨て手袋市場規模と展望 2024年～2032年

世界の使い捨て手袋市場は、2023年に102.5億米ドルと評価されました。この市場は、2024年の111.2億米ドルから2032年までに214.2億米ドルに成長すると予測されており、予測期間（2024年～2032年）において年平均成長率（CAGR）8.53%で拡大すると見込まれています。この堅調な成長は、一般市民および多様な産業分野の専門家の間で、健康、衛生、安全に対する意識が著しく高まっていることが主要な推進要因となっています。感染症や汚染物質からの保護対策の必要性が増大するにつれて、使い捨て手袋の需要は飛躍的に高まっています。

使い捨て手袋は、医療業界で利用される様々な個人用保護具（PPE）の中でも特に不可欠な製品です。これらは一度の使用を前提として設計されており、使用後は直ちに廃棄されるべきものです。主に天然ゴムまたは合成ゴムから製造され、着用者の手を覆い、有害な環境影響から保護する役割を果たします。また、医療従事者が自身と患者双方を感染症から守るためにも広く活用されています。使い捨て手袋は、ラテックス、ニトリルゴム、ポリ塩化ビニル、ネオプレンなど、多岐にわたるポリマー素材から作られています。製品の形態としては、装着を容易にするためのコーンスターチパウダーが塗布されたものと、パウダーフリーのものがあります。

単回使用の使い捨て手袋は、医療業界、食品加工業、法執行機関、歯科医療など、幅広い分野で化学物質、汚染物質、体液、感染症から皮膚を保護する上で極めて有用です。細菌や病原菌の拡散を効果的に抑制することで、すべての利用者の安全性を向上させることに貢献しています。一度使用された使い捨て手袋は迅速に汚染される可能性がありますが、その交換は簡便で費用も比較的安価です。

**市場促進要因**

使い捨て手袋市場の成長を牽引する主要な要因は以下の通り、多岐にわたります。

1. **健康、衛生、安全意識の劇的な向上:**
一般市民および医療、食品加工、製造、清掃などの専門分野における健康、衛生、安全に対する意識の高まりは、使い捨て手袋の需要を根本から押し上げています。特に、感染症の予防と制御の重要性が広く認識されるようになったことで、個人用保護具としての使い捨て手袋の必要性が増大しました。COVID-19パンデミックのような公衆衛生上の危機は、この傾向をさらに加速させ、日常的な感染予防策としての使い捨て手袋の利用を促進し、その需要を恒久的に高める効果をもたらしました。これは、感染リスクを低減し、作業環境の安全性を確保するための基本的なツールとしての使い捨て手袋の地位を確立しました。

2. **手袋使用者人口の拡大:**
様々な人口動態的要因により、手袋を使用するターゲット人口が劇的に増加しています。世界的な高齢化の急速な進展は、この傾向の重要な一因です。高齢者は慢性疾患を抱えることが多く、医療処置や介護を受ける機会が増えるため、医療従事者や介護者による日常的な使い捨て手袋の使用が不可欠となります。また、美容整形やその他任意の手術を受ける人々の数が増加していることも、手袋の需要を押し上げる要因です。これらの処置においては、医師や看護師による衛生管理と患者保護のために、使い捨て手袋の常時使用が求められます。

3. **世界的な外科手術件数の増加:**
急性および慢性疾患の罹患率・有病率が上昇するにつれて、これらの疾患を治療するために行われる外科手術の件数も世界的に急速に増加しています。外科手術件数増加の主要な要因としては、高齢者人口の増加、低侵襲手術の選択肢の拡大、そして外科手術手技における技術的進歩が挙げられます。例えば、米国だけでも外来手術の実践は年間膨大な数の外科処置を生み出しており、使い捨て手袋に対して大きな需要を創出しています。世界中で手術件数が増加するにつれて、手袋のような安全資材の需要は予測期間中に増加し、使い捨て手袋市場を牽引すると予想されます。手術室や診察室における厳格な衛生プロトコルは、使い捨て手袋の継続的な使用を保証し、市場の成長を確固たるものにしています。

4. **医療ツーリズムの活況:**
自国を離れて海外で治療を受ける医療ツーリズムが世界的に活況を呈しています。推定では、世界中で1,700万人以上の人々が医療目的で異なる国を訪れています。自己認識の高まり、慢性疾患の発症、そして高度な医療機器やアパレルの需要の増加が、特にアジア太平洋地域における医療ツーリズムの需要を促進すると予想されています。アジア太平洋地域やラテンアメリカの新興経済国における医療ツーリズムの台頭は、最終的に医療用および外科用使い捨て手袋の需要増加につながる可能性があります。これらの手袋は一度の検査後に廃棄されるため、追加販売のホットスポットとなる可能性があります。医療ツーリズムの影響により、予測期間中に使い捨て手袋の売上が15%増加すると見込まれており、これは市場にとって大きな機会となります。

**市場抑制要因**

使い捨て手袋市場の成長にはいくつかの抑制要因も存在します。

1. **持続可能性への懸念と環境への影響:**
持続可能性は、ブランドの環境および企業の社会的責任（CSR）の側面を大きく左右する主要な懸念事項です。これは、使い捨て手袋のような製品のブランド信頼性にも影響を与える可能性があります。しかし、ほとんどの使い捨て手袋はリサイクル不可能であり、環境破壊の一因となっています。使い捨て手袋（ラテックス製であっても）は、その複雑な成分のために土壌中で完全に分解されるまでに数十年かかります。さらに、ゴム栽培、ラテックス生産、手袋加工に関連する炭素排出も有害であり、例えば200枚のラテックス手袋の製造におけるカーボンフットプリント排出量は約41 kg CO2換算とされています。ニトリル手袋や化学物質を混合したラテックス手袋はリサイクル不可能であり、土壌中で生分解されるまでに何年もかかるため、生態系に深刻な悪影響を及ぼします。このような環境負荷に関する懸念は、使い捨て手袋市場の成長を制限する重要な要因となっており、環境意識の高い消費者や規制当局からの代替製品への移行を促す可能性があります。

**市場機会**

市場の成長を促進する潜在的な機会も存在します。

1. **二重装着（ダブルグローブ）ポリシー/トレンドの普及:**
直接的な臨床ケアや汚染された表面、器具、設備に接触する活動を行う医療従事者やその他の最前線のスタッフは、保護対策として手袋の着用を求められています。感染リスクをさらに低減するため、多くの専門家が医療従事者の安全を確保するために、二重装着（ダブルグローブ）ポリシーを採用し始めています。例えば、オーストラリアの看護師の50%以上が手術室で二重に手袋を着用していることが報告されています。さらに、医療従事者の間で手指衛生の遵守が広範に行き届いていないため、専門家の間では二重装着の傾向が増加しています。最近の研究では、手袋の完全性が破れ、裂け、または鋭利な物で穴が開くなどして損なわれた場合、医療従事者と彼らの手が触れるあらゆる物や人との間で病原体が双方向に伝播する可能性があることが確認されています。このようなリスクを考慮し、多くの専門機関も、医師が二重に手袋を着用し始めるべきだと主張しています。この二重装着のトレンドは、使い捨て手袋の需要を大幅に増加させ、市場成長の大きな機会を創出すると期待されています。手袋の使用量が増加することで、製造業者にとっては生産能力の拡大と収益増加の機会が生まれるでしょう。

**セグメント分析**

使い捨て手袋の世界市場は、地域、素材タイプ、形状、最終用途、および流通チャネルに基づいて詳細に細分化されています。

**地域別分析:**

1. **北米:**
北米は、世界の使い捨て手袋市場において最も重要なシェアを占めており、予測期間中に9.31%のCAGRを示すと推定されています。この地域が大きな市場シェアを占める主な理由は、罹患人口の相当な部分を占める患者層の存在と、様々な急性および慢性疾患に対する治療へのアクセスが容易であることです。北米は、使い捨て手袋業界の主要企業にとって主要なターゲット市場です。Kossan、Top Glove、Supermaxなど多くの大手企業は、合併・買収を通じて事業を拡大したり、高温や穿刺に耐えることができる手袋のような革新的な新製品を導入したりすることで、北米市場における使い捨て手袋の継続的な需要を捉えようとしています。さらに、この地域には高度に確立された医療インフラがあります。償還オプションの充実と人々の健康に対する意識の向上により、手術を受ける人々の数は長年にわたって高く、着実に増加しています。これにより、市場における医療グレードの使い捨て手袋の需要が持続的に増大しています。

2. **欧州:**
欧州市場は、予測期間中に11.32%という高いCAGRを示すと予測されています。この地域の高い市場シェアの主要因は、主要ベンダーの存在、疾患認識の向上、そして高い医療費支出です。ドイツ、イタリア、英国、フランス、スペイン、オランダ、ロシアがこの地域の主要な収益貢献国です。疾患認識の向上、低侵襲外科手術手技の普及、患者中心の医療への注力により、治療を求める人口が増加することが、主に欧州市場を牽引するでしょう。医療分野に加えて、製造業および食品・飲料分野も市場の追加需要を占めています。労働者に対する厳格な規制基準と安全対策も、市場における使い捨て手袋の需要をさらに推進する要因となっています。

3. **アジア太平洋:**
アジア太平洋地域は、新規参入企業にとって巨大な市場機会を持つ地域と見なされています。また、世界最大の手袋製造業者の一部もこの地域に拠点を置いています。しかし、一部の地域における社会的偏見に関連する治療を求める人口の少なさ、低い疾患への意識、特に新興国における医療サービスへの比較的低いアクセスは、この地域での医療用使い捨て手袋の使用と採用を制限するいくつかの要因です。一方で、高い疾病有病率、医療費支出の改善、疾患に対する意識の向上、そして高度な外科手術手技のための医療インフラへの投資が、この地域の使い捨て手袋市場の成長を促進するでしょう。さらに、中国、日本、韓国のようなアジア諸国は、過去15年間で遺伝子医療の研究開発を積極的に行ってきました。最近まで、遺伝子治療の分野は主に米国および一部の欧州諸国の研究者によって支配されてきましたが、現在では中国や日本のような国々で多くの製品が使用承認されており、市場における清潔で滅菌された使い捨て手袋の使用が求められています。

4. **ラテンアメリカ:**
ラテンアメリカ地域は、最も多くの美容整形手術が行われている地域の一つです。この地域には、発展途上国と先進国の両方が存在し、医療インフラも整備されています。さらに、2030年までにこの地域の人口の約17%が60歳以上になると推定されています。2050年までには、高齢者人口のほとんどが年金保障の対象となり、保険適用で手術を受けることが可能になるでしょう。これにより、ラテンアメリカ市場における外科用および検査用使い捨て手袋の需要が刺激される可能性が高いです。

5. **中東およびアフリカ:**
中東およびアフリカ地域では、心血管疾患（CVDs）、糖尿病、高血圧、がんなどの急性および慢性疾患に対する高度な治療オプションや、利用可能な様々な治療オプションに関する意識の欠如が、他の地域と比較して医療用使い捨て手袋の採用が少ない原因となっています。しかし、建設、製造、食品・飲料などの分野でも、製造業者の安全性、労働者の汚染防止などに関して様々な革新的な変化が進行しており、これらが市場における使い捨て手袋の使用をさらに促進しています。特に、労働安全衛生基準の導入と強化が、これらの非医療分野での需要を押し上げています。

**素材タイプ別分析:**

世界の使い捨て手袋市場は、ラテックス、ニトリル、ビニール、ネオプレン、その他の素材タイプに分けられます。

1. **ニトリル:**
ニトリルセグメントは市場への最も重要な貢献者であり、予測期間中に11.03%という高いCAGRを示すと推定されています。市場に導入された当初、ニトリル手袋は非常に伸びにくく、脆いという課題がありました。しかし、これらの問題を克服するためにニトリル手袋の製造技術は劇的に改善されました。最新のニトリル手袋は、ラテックス手袋と比較して最高の快適性を提供します。ニトリル使い捨て手袋の主要な利点の一つは、ラテックス手袋よりも3～5倍耐久性が高いことです。さらに、穿刺や破れに対する耐性も優れています。使用される化学物質の種類に関わらず、非常に高いレベルの耐薬品性を提供し、ユーザーに最高の保護をもたらします。この卓越した特性は、ラテックス手袋と比較して、ニトリル使い捨て手袋の優位性を確立しています。ニトリル使い捨て手袋は、様々な医療用途に適していることから、長年にわたって需要が増加しています。これにより、近年、使い捨てニトリル手袋に対する大きな需要が生まれています。多くの企業が、世界中の顧客により多くの使い捨て手袋を供給するために、ニトリルセグメントにおける製造能力を積極的に拡大しています。ニトリル使い捨て手袋の適用範囲の拡大は、食品・飲料、農業、化学薬品、その他の産業分野における需要をさらに高めています。

**形状別分析:**

使い捨て手袋の世界市場は、パウダー付き手袋とパウダーフリー手袋に分けられます。

1. **パウダーフリー手袋:**
パウダーフリー手袋セグメントが最高の市場シェアを占めており、予測期間中に10.86%のCAGRを示すと予測されています。パウダーフリー手袋は、内層にコーンスターチが含まれていないため、よりユーザーフレンドリーで、強度が高く、多用途に使用できます。これらは、医療業界、特に外科用および検査用使い捨て手袋として広く好まれ、次いで食品・飲料業界および機械業界で採用されています。さらに、パウダーフリー手袋は、欧州連合諸国、米国、日本などの先進国で広く好まれており、これらの国々ではパウダー付き手袋の使用が禁止されています。空中感染やその他のアレルギーから解放されるというユーザーフレンドリーな特性が、最終ユーザーの間で好まれる主な理由です。パウダーフリー手袋は、塩素処理またはポリマーコーティングと呼ばれるプロセスを経ており、これによりラテックス手袋のフィット感を緩和し、パウダーなしで容易な装着と取り外しを可能にします。このプロセスにより製造コストは高くなりますが、その利便性と安全性から、市場全体への大きな影響はありません。

**最終用途別分析:**

使い捨て手袋の世界市場は、医療分野と非医療分野に分けられます。

1. **医療分野:**
医療分野が世界市場を支配しており、予測期間中に11.44%という高いCAGRを示すと予測されています。医療分野はさらに、外科用と検査用のサブセグメントに細分化されます。COVID-19パンデミックは、特に検査用使い捨て手袋に対して膨大な需要を生み出しました。2020年には検査用使い捨て手袋の需要が2倍以上に急増しました。多くの医師、医療従事者、最前線の労働者に、自身を守り、COVID-19感染の拡散を防ぐために使い捨て検査用手袋が提供されました。外科用使い捨て手袋は、使い捨て手袋製造会社にとって重要な収益源の一つと見なされています。世界中で行われる手術件数の増加により、外科用使い捨て手袋に対する需要は常に高い状態です。ほとんどの外科用使い捨て手袋は耐久性がありますが、外科医が手の完全な機能と感度を保てるように非常に薄く作られています。さらに、多くの主要企業や著名なプレーヤーが幅広い革新的な外科用使い捨て手袋を提供しており、これが世界の医療用使い捨て手袋市場の成長をさらに推進しています。

**流通チャネル別分析:**

使い捨て手袋の世界市場は、B2B/機関、小売、その他の流通チャネルに分けられます。

1. **B2B/機関:**
B2B/機関セグメントは、使い捨て手袋市場への最大の貢献者であり、予測期間中に10.05%のCAGRを示すと予測されています。B2Bは、最も広く好まれる流通チャネルの一つです。手袋製造業者は、製品開発の研究、革新、使い捨て手袋の製造を行います。製造に加えて、これらの企業は自社製品を大規模な流通業者/機関に供給し、それらが病院、研究所、店舗、オンラインプラットフォーム、その他の最終ユーザーに流通させます。医療用使い捨て手袋の場合、共同購入組織（GPO）は、製造業者から非常に大量の医療用使い捨て手袋を経済的なコストで直接調達しています。これらは、手袋のような医療製品の最大の独立した顧客の一つです。大量の使い捨て手袋を消費するほとんどの病院や病院チェーンは、供給チェーンにおける仲介業者や流通業者を排除し、割引価格で製品を入手するために製造業者から直接注文します。この直接的な取引は、効率性を高め、コストを削減する点で双方に利益をもたらします。

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