世界のサービスとしての照明（LAAS）市場：商業用、屋外用、産業用（2025年～2030年）

照明サービス市場は、予測期間中に年平均成長率（CAGR）50.04％を記録すると見込まれております。
照明サービス（LaaS）は、ライト・アズ・ア・サービス（Light-as-a-Service）とも呼ばれ、照明サービスを一時金ではなく定期購読制で課金するサービスベースのビジネスモデルでございます。

具体的には専門サービスプロバイダーといった第三者によって管理され、照明設計、資金調達、設置、保守、その他のサービスが含まれる場合があります。

LaaSモデルは、特に建物の改修や屋外施設において、設置コスト削減を主目的として、商業施設や都市全体のLED照明導入でより一般的になってきています。照明ベンダーは、インターネット接続型照明やエネルギー管理といった付加価値サービス販売においてLaaS戦略を活用しています。

• 例えば、世界のLED使用量は近年大幅に増加しており、2013年の市場シェア5％から2019年には世界の照明販売のほぼ半分に達し、一体型LED照明器具のシェアも拡大しています。米国や欧州を含む複数の先進国市場が、照明器具市場セグメントの急速な拡大を牽引しています。同時に、中国は国内および世界的な製造基盤を実質的に構築しました。
• さらに、照明は家庭の電力使用量の約10％、商業施設の18～40％を占めています。世界的に省エネルギーの必要性が高まっており、市場拡大の余地が生まれています。エネルギー効率の高い照明への移行により、2030年までに世界の照明用電力需要が30～40％削減されると予測されています。LED照明は50％以上の省エネルギーを実現し、より明るく鮮明な光を放ちます。また、視神経を刺激して頭痛や疲労感を引き起こすちらつきがほとんどありません。加えて、有害物質を含まず、ちらつきやストロボ現象がなく、完全にリサイクル可能です。
• 世界各国でLED照明の導入が急速に進んでおります。例えばニューヨーク市では25万基の街路灯をLEDに交換する計画が進行中であり、続いて都市部の装飾照明の交換も予定されております。スペインのバルセロナでは3,000基以上のLED技術に基づくスマート街路灯を設置し、大気汚染・湿度・騒音・環境全体の情報を収集しております。さらに、米国エネルギー省（DOE）は、2020年までに屋外照明器具の出荷量の75％以上が発光ダイオード（LED）になると予測しています。
• 加えて、COVID-19の継続的な拡大に伴い、スマートビルディング分野のテクノロジーベンダー各社は、企業の建物における感染対策強化を支援する新たな提案を展開しています。2020年3月には、照明サービス企業であるエコ・エナジー・グループ（Eco E）が、建物の感染対策向上を支援する新たな照明製品群を発表しました。表面の細菌やウイルスを死滅させることができる紫外線（UV）ライト「スマートUVCソリューション」を導入しました。「Smart UVA Solution」も安全な光線による表面消毒が可能です。エコイーはこれらのソリューションを、設備投資を必要としない「サービスとしての照明」ビジネスモデルで提供します。

サービスとしての照明市場の動向

商業セグメントが市場を主導

• 商業セグメントには、オフィス、店舗、教育機関、病院など商業活動に利用される空間が含まれます。主に住宅、工業、製造以外の空間を指します。他の照明タイプと比較し、商業照明は初期コストが高く、寿命が長く、耐久性に優れ、メンテナンスやサービスコストが高く、省エネ性能に優れた選択肢が多い傾向があります。商業活動は、地域や国の経済状況を測る重要な指標の一つです。
• 電力消費量の増加に伴い、様々な商業施設では「照明サービス（LaaS）」モデルが採用されています。このモデルでは、照明器具そのものではなく、照明そのものに対して所有者が費用を支払います。所有者は、LED技術を用いた照明と保守サービスを提供する契約に基づき、サブスクリプション方式で照明を購入します。
• サービスとしての照明（LaaS）が提供する省エネルギー効果とコスト削減は、持続可能性とエネルギー効率への企業関心の高まりから、商業エンドユーザーにとって魅力的な提案となっています。総コスト削減効果により、数多くの商業組織におけるLaaSの普及が加速しています。例えば米国では、様々な商業用途におけるLED改修事例が潜在的な成果を示しました。建物の外装照明では、エネルギーコストが63％削減された結果が確認されています。
• しかしながら、新型コロナウイルス感染症（COVID-19）の影響により、新規商業ビルの建設は影響を受けております。例えば、ポーランドのBank Pekao SAによれば、あらゆる種類の建物の中で、商業ビル（オフィスビルなど）のみが前年比20％の生産減少を記録しました。さらに、世界的な在宅勤務政策の実施により、こうした事例が短期的には市場成長を阻害すると予想されます。

北米が市場を主導

• 北米には23カ国が含まれ、2019年の累積GDPは約24.98兆米ドルでした。この地域で電力消費量において顕著な発展を遂げている主要国は米国であり、同国では照明システムの効率化を図る様々な計画が採用されています。
• 2019年、トランプ政権はエネルギー消費率の削減と、主に天然ガス発電所から発生する二酸化炭素排出量の抑制を目的として、より高効率な電球の使用拡大計画を発表しました。この計画に基づき、米国で販売される全ての電球は、エネルギー基準を満たすためLEDまたは蛍光灯であることが義務付けられています。
• 地域内の様々なプロジェクトの中でも、ローレンスビルにあるブリストル・マイヤーズ スクイブ社の取り組みは、275,000平方フィートのオフィス空間における照明改修工事を含む、顕著な省エネ照明プロジェクトの一つです。同プロジェクトでは分散型リレー制御システムと不在検知センサーを採用し、全エリアで自然光を活用することで空間のエネルギー消費を削減しました。
• 米国に加え、カナダもこの地域で電力節約に注力する主要国であり、様々な照明基準やサービスプロジェクトを実施しています。このように、地域内で様々な基準に基づくサービス導入が進む中、近い将来の市場拡大が期待されます。
• 北米全域での確固たる基盤と、包括的な複数拠点設置、リアルタイムエネルギー監視・分析、ネットワーク化された照明管理システムなど多様な能力を有することで、数十億規模の照明市場への参入が可能となります。例えばカナダの都市では、エネルギー効率向上のためスマートLED照明の導入を継続的に推進しており、これが市場成長を促進しています。

サービスとしての照明業界概要

サービスとしての照明市場は分散化されています。主要プレイヤーには、エブリ・ワット・マターズ（Every Watt Matters）、ルメニックス（Lumenix）、ストウチ・ライティング（Stouch Lighting）、LEDVANCE GmbH、シグニファイ・ホールディングス（Signify Holdings）、ESBライト・マニュファクチャー（LED照明器具メーカー）などが含まれます。各社は効率性、使いやすさ、技術革新を原動力に製品ラインを強化することで市場成長を活用しています。さらに、様々な政府施策がLED照明のさらなる普及を促進しており、これがサービスとしての照明市場の成長を支えています。

• 2020年8月 – LEDVANCE GmbHは、スマートホーム向け「LEDVANCE and Bosch Smart Home」照明ソリューションを発表しました。LEDVANCE Smart+製品をBosch Smart Home Systemに統合することで、お客様にとってアプリケーションがさらに容易になり、追加のブリッジを必要としない安全な住まいを実現する高品質なソリューションとなります。
• 2020年7月 – Enlighted Incは、企業ポートフォリオ全体での迅速かつ大規模な導入を可能にする新設計のサーフェスセンサーに、受賞歴のある技術を提供します。Enlightedの最新センサーは、活動ベースのワークスペース、会議室、商業ビルをよりスマートに、より安全に、より効率的にし、利用者の体験を向上させます。本センサーは、占有検知、温度、周囲の照度レベルなどのデータを収集し、さらにBluetooth LE機能を搭載しているため、他のIoTデバイスやアプリケーションとの通信が可能です。
• 2020年1月 – Signify NV社は、温室におけるLED栽培照明への切り替えを簡素化するため、LEDトップライティングコンパクトシリーズのラインアップを拡充いたしました。同社は、ランニングコスト削減のための高効率バージョン、および様々な作物に対応する高出力バージョンを発表しました。提供されるソリューションはGrowWise制御システムと連携可能で、エネルギー消費量を50％削減いたします。

照明サービス市場レポート – 目次
1. はじめに
1.1 調査の前提条件と市場定義
1.2 調査範囲
2. 調査方法論
3. エグゼクティブサマリー
4. 市場動向
4.1 市場概要
4.2 COVID-19が業界に与える影響の評価
4.3 最近の動向と発展
4.4 政府の政策と規制
4.5 業界の魅力度 – ポーターの5つの力分析
4.5.1 供給者の交渉力
4.5.2 消費者の交渉力
4.5.3 新規参入の脅威
4.5.4 代替製品・サービスの脅威
4.5.5 競争の激しさ
4.6 バリューチェーン／サプライチェーン
4.7 市場推進要因
4.7.1 省エネルギー照明システムの導入に関する政府政策
4.7.2 照明システムへのIoT導入
4.8 市場の課題
4.8.1 サブスクリプションプログラムの総コスト上昇と、近い将来の価格変動によるメーカーへの課題
5. 市場セグメンテーション
5.1 エンドユーザー
5.1.1 商業用
5.1.2 屋外用
5.1.3 産業用
5.2 地域
5.2.1 北米
5.2.2 欧州
5.2.3 アジア太平洋地域
5.2.4 ラテンアメリカ
5.2.5 中東・アフリカ
6. 競争環境
6.1 企業概要
6.1.1 Every Watt Matters
6.1.2 Lumenix
6.1.3 Stouch Lighting
6.1.4 LEDVANCE GmbH
6.1.5 Signify Holdings
6.1.6 Electricity Supply Board (ESB) Group
6.1.7 Enlighted, Inc
6.1.8 General Electric Company
6.1.9 LumenServe Inc
6.1.10 Lighthouse
※記載は一部です
7. 市場機会と将来の動向